代議員月例アンケート 政府のコロナ対応緩和について  PDF

実施時期=2022年11月4日~11月16日
対象者=代議員85人 回収数=30(回収率35%)

秋からの対応緩和に評価さまざま

 政府は、新型コロナウイルス感染症対策の緩和に大きく舵を切り始めた。
 9月26日から「発生届」の対象者を高齢者や重症化リスクの高い人などに限定する「全数把握」の簡略化を全国一律で実施。若者や軽症者は陽性が判明すれば、フォローアップセンターなど支援機関に自ら登録して自宅療養となった。
 さらに、厚労省は10月13日、インフルエンザとの同時流行時には高齢者や重症化リスクが高い人には受診を促す一方、重症化リスクが低い人はコロナの検査キットで自己検査することを原則とすると発表した。
 これらは、「第7波」による感染拡大で発熱外来や保健所業務のひっ迫に対し、対応を緩和することで負担軽減を図るもの。「発生届」の対象外となった患者に必要な支援が行われるのか、全体の感染状況が見えづらくなるなども懸念される。医療ひっ迫の最大の原因はこれまでの医療費抑制政策にあり、それを根本的に改めずに、不十分な対処療法でしかなかったことは踏まえておくべきであろう。
 ワクチンについては、オミクロン株BA・1対応型の接種が9月20日から開始、BA・4/5対応型も10月24日から始まった。4歳以下のワクチンも承認され、5歳以上と同様に予防接種法上の「努力義務」とされた。3回目以降の接種については、間隔を3カ月に短縮することも10月21日より適用された。政府は、従来型で2回目までの接種を終えた12歳以上の人を対象に、年内に全ての希望者への接種完了を目指すとしている。
 こうした対応の見直しについて、代議員がどう考えているかをきいた。
全数把握簡略化は歓迎と不安
 「全数把握」の簡略化について、複数回答できいたところ、「負担軽減されるので歓迎」が64%、「今後感染予想できにくくなるのは困る」30%、「必要な医療が提供されるか不安」が24%(図1)。「その他」として、「そもそも検査感度の問題があるため全数把握は困難である。ただし、感染の危険因子が解らなくなるような調査方法では困る」との意見があった。
同時流行時の受診限定も両論
 インフルエンザとの同時流行時の外来受診について、「医療ひっ迫を防ぐため高リスクの人に受診を限定することも仕方ない」が45%で「低リスクの方の受診を限定すべきでない」30%、「わからない」が18%あった(図2)。
 ワクチン接種について懸念することをきいたところ、「有害事象の報道が過熱し、接種率が低下すること」「2価ワクチンの副反応の詳細を知りたい」「通常診療とワクチン接種だけでも大変なのに8波が来れば対応できない」「スタッフの負担も大きく、いつまで継続できるか心配」との意見があった。
 その他、感染症分類についての意見や協会の会議のあり方についても意見があった。
 なお、回答医療機関の発熱外来、コロナワクチン接種状況については、「どちらも行っている」61%、「どちらも行っていない」9%、「発熱外来のみ」12%。「ワクチン接種のみ」18%であった。

図1 「全数把握」の簡略化について
図2 同時流行時の外来受診について

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