我が家のペット ベア君の恩返し  PDF

調 幸治(亀岡)

 大型犬グレートピレニーズの“ベア君”です。グレートピレニーズはフランスのピレネー山脈の羊のガードとして、また王宮の護衛犬として育てられた犬です。白熊に似ているので“ベア”と名付けたのです。
 2003年に京都三条河原町に犬屋さんがあったのですが、その頃チワワなど小型犬が大人気な時代でした。ゲージの中でじっと飼い主を待っていたのですが、半年近くなっても購入されずゲージが窮屈になり店長さんに聞くと、売れないので専門業者に依頼するらしく、かわいそうに思い家族に内緒で購入し、リュックサックに入れて持ち帰りました。
 その後、医院の玄関近くで飼って、患者さんからも好かれていたのですが、畳1枚分のスペースしかなく、体重50㎏となり亀岡南つつじヶ丘の山が付属した貴重な住居を見つけベア君も喜ぶと思い、無理をおして購入し、そこで警備犬として飼っていたのです。
 15年前、医院2階東側の壁が崩落したのです。それは1000㎏を超える10mものレンガでできた壁でした。これは夜中に生じ大爆音のため近所の方たちもびっくりして起きてこられました。道路まではみ出したのですが、車も人もいなくて、他への被害を与えずにすみました。
 建物も25年以上経過し、その間地震、水漏れ等、さまざまな要因で構造物が腐蝕していたためだと思われました。突然のことでした。実は当日昼、上に登って自分で“トユ”の修理と塗装をやる予定でした。その作業を始める時に、ベアが私を呼んでいる声が聞こえた気がして、ベアのいる南つつじヶ丘へ行き夕方まで山で一緒に遊んだのです。
 当日天候もよく、昼に崩落していたら私も巻き込まれ人にも被害を与え、大事故になっていたなと後で身震いしました。これも、運だとつくづく思いました。
 この事故をきっかけに、補強工事と施設賠償責任保険、その他の損害保険をすべて見直しました。それが今も役立っています。人身事故を起こしていたら刑事および民事事件となり大変なことになっていたのではないかと思います。私を守ってくれたベア君も、15年幸せに生きてくれて静かに息を引き取り南つつじヶ丘の山に埋葬しました。
 すべて、ベア君のおかげだと思っています。
ありがとう ベア君

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