医界寸評  PDF

 日本人は2人に1人ががんに罹るとされている。がんは決して稀な病気ではない。免疫チェックポイント阻害薬など有望な治療法も開発されたが、奏功しなければそれ以上治療できない時は来る。その時には患者・家族と医療者が、がんの治療を中止し、残された時間を自宅や緩和ケア病棟など、どこで過ごすかを決める必要がある▼これはがん診療の中でも、意思決定が難しい場面であり、患者・家族、医療者双方にとって侵襲的であるため、正面から向き合えずに双方にとって“楽な”話し合い(心理的馴れ合い)で、意思決定を先送りしがちではないだろうか。しかし、この意思決定ができないと、亡くなる直前まで化学療法を続けたり、手厚いホスピスケアを受ける間もなく亡くなってしまうことになる。これは終末期医療の質としては好ましくない▼ACP(アドバンス・ケア・プランニング)が診療の経過中や家庭などで日常的に行われておれば、このような難しい意思決定にも寄与する可能性があるのではないだろうか。ACPは厚労省が主導し、“人生会議”という日本名を作り、芸能人を起用したポスターを作製するなどしたが、いまだ流布していないのが実情であろう▼ACPはがんに限らず、人生のいろいろな場面で役立つ可能性があり、浸透することが望ましいと思う。(京凡人2世)

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