決議  PDF

 今年5月15日、沖縄返還50周年を迎えた。2度の原子爆弾が投下された唯一の被爆国だからこそ、未だ終息の兆しが見えないロシアのウクライナ侵略戦争に核を含む大量殺戮兵器を使わせないよう、武力による解決ではなく平和的解決が必要であると今こそ世界に向けてアピールする時である。
 新型コロナウイルス感染症により、多くの労働者の賃金は低下し、国の年金支給額も2年連続で引き下げられた。その上ロシアのウクライナ侵攻がもたらした原油の高騰や物価高が追い討ちをかけている。そんな「コロナ後貧困」の中にあって政府は、今年1月1日に施行された「改正健康保険法等」によりこのまま75歳以上の窓口一部負担金の2割化を押し通すつもりなのだろうか? 6月7日、岸田内閣は2022年度「骨太の方針」を決定した。新しい資本主義の実現に向けた改革としているが、まず優先されるべき国民の命と健康を守る政策はないがしろにされている。思いきって人々の生命と暮らしを守ることへ財源を振り向けるべきである。医療機関の減収に対する補助金は十分とは言えず、その上受診控えや、診療報酬改定の影響が今後とも経営にますます重くのしかかってくると予想される。岸田首相は防衛費の相当な増額方針を示したが、戦力よりも国民のインフラを守るため医療・社会保障の拡充も求めたい。
 新型コロナをめぐっても福祉施設入所者を含めた高齢・高リスク者が急変しても入院できずに亡くなるケースが後を絶たない。入院調整に時間を要する時の備えとしたはずの待機ステーションの稼働率は極めて低い。全ての感染者を救うために今後の活用を早急に検討すべきである。政府が入国制限を緩和したことによって新種株の発生、第7波の到来が急速に拡大している。コロナ感染者に日々対応する医師、看護師の絶対数不足を早急に解消し、国民のより良い医療体制構築を目指し以下を決議する。

 一、受診抑制を招きかねない後期高齢者の一部負担金2割化を見直し、中止すること
 一、医療需要の拡大に迅速に対応できる医療体制を構築し、重症化を未然に防ぐべく最善の治療を受けられるようにすること
 一、新型コロナ感染症拡大により生じた医療機関の経営困難に対し十分な補填をすること
 一、初・再診料、入院料などの基本診療料を引き上げ、医療従事者の労働を正当に評価し、医療費抑制策を見直すことにより地域医療の安定を図ること
 一、世界的な軍拡、緊張が広がる中、唯一の戦争被爆国として核兵器のない平和な世界の実現を目指すこと
2022年7月31日
京都府保険医協会
第75回定期総会
(第203回定時代議員会合併)

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