かかりつけ医制度化議論加速に警鐘 提言等重ね政策転換求める方針 第75回定期総会開く  PDF

 協会は第75回定期総会を7月31日に京都市内のホテルで開催。感染防止対策のため会場と参加者をネットでつなぐハイブリッド形式で実施した。84人(代議員60人、一般会員3人、役員21人)が出席し、2021年度活動報告と22年度活動方針、決議案を採択した。また、21年度の総会で代議員から規約内容の見直しの意見が出されたことを受け、本総会において協会規約改正案を提案し、承認を得た。議案書に改正案が掲載されているので、ご覧いただきたい。(関連2・3面)

21年度協会活動を
総括
 茨木和博副理事長が21年度の活動を総括。新型コロナウイルス感染症では、20年度に引き続き陽性患者受入体制の整備、医療機関への経営支援、コロナワクチンの接種体制整備など、国、自治体への要請活動に重点的に取り組んだと報告した。
 診療報酬関連では、新型コロナに係る臨時的取扱いの継続算定を要請。点数改定にあたっては、技術料等の引き上げや受診時定額負担導入中止等を求めたと述べた。また、4年ぶりとなる「点数表改定のポイント」説明会、「新点数運用Q&A・レセプトの記載」説明会を開催したことも報告した。
コロナの死亡者
なくす対策必要
 続いて、吉中丈志理事が情勢を報告。長引くコロナ禍とロシアのウクライナ侵攻等によって我々を取り巻く危機的な情勢は、戦後築いてきた平和主義や人権尊重の価値観を脅かしている。新型コロナ第7波が襲来し感染者数が高止まりして収束が見通せないにもかかわらず、政府は経済優先で緩和等ばかりを指向している。
 また、コロナ禍に乗じた「かかりつけ医」制度化議論にも危惧を示し、さらには、着々と進められている地域医療構想、あらためて導入が目論まれているマクロ経済指標による「医療費総額管理」、総額管理と親和性の高いデジタルトランスフォーメーション(DX)の展開など、国は新自由主義的な成長戦略に拘泥。新型コロナで露わになった社会保障制度の不備には目を向けず、これまでの医療費抑制政策を強固に推し進める姿勢を批判した。
 情勢報告を受けて、鈴木卓理事長が22年度活動方針を提案。協会は、関連死も含めて、何より新型コロナによる死亡者をなくすことを目指して活動してきた。まだまだ予断を許さない状況であるが、現下の取り組みを総括し、中長期的課題も含めて改善を求める提言を行っていきたいと述べた。
 また、新型コロナで明らかになった日本の医療制度、提供体制、公衆衛生政策などの不備、不足を根本から見直す検討を各方面に要請し、協会としても対案を提示していきたいとした。提案はほぼ全会一致で承認された。
 総会後は、「妖怪人間ベムは永遠に笑わない―生きる意味は間に―」と題した講演会を開催。講師は京都大学大学院人間・環境学研究科研究員の佐藤泰子氏で、参加者は63人だった。

ページの先頭へ