医界寸評  PDF

 自然界の現象は正規分布がよく当てはまる。コロナの“波”もこれに類似し、行動規制は新規感染者数がピークアウトし減少してから解除され、しばらくは感染が落ち着くという経過を繰り返してきた▼ところが第6波は、ピークは越えたが、新規感染者数が十分減少する前に行動規制が解除され、正規分布ではなく“ふたこぶラクダのこぶ”のように、再度増加している▼コロナ禍が3年目となり、繰り返す行動規制や、社会活動への圧迫から先の見えない閉塞感や漠然とした不安が人々の間に広がり、またオミクロン株は感染力は強いものの、重症化率は高くないことから早めに解かれたのかもしれない▼先日、京都府知事選があり、現職が再選した。聞くところによると復興庁の元事務次官とのこと。ならば災害級の新型コロナ対策も適任と期待するが、第5波の後など、感染状況が落ち着いた時期に医療提供体制、保健所機能などは改善されただろうか。入院待機ステーションは設置したが、110床のうち使用されたのは10床程度と聞くし、高齢者施設のクラスターは、入院できずに施設で感染対応の経験がない介護士などが対応しているという▼ぜひ、これらの目の前の課題に取り組みつつ、これからのwithコロナ時代をどう乗り切るかのビジョンを示し、人々の閉塞感や不安を払拭してほしい。(京凡人2世)

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