主張 医療含めた個人情報の集約化マイナンバーカードのリスク把握を  PDF

 最近、テレビなどで、有名俳優を使ったマイナンバーカードの宣伝がやかましいほどである。身分証明や各種行政手続きのオンライン申請、加えて保険証としての利用など。マイナンバーカードの普及率の低さへの危機感もあろうが、手を変え品を変えお上が宣伝するからには、きっと何か裏がありはしないかと、つい危惧してしまう。個人の情報が紐づけされているICチップの解析で丸裸にされかねない。
 また個人資産や個人の経済状態が筒抜けになる可能性もある。そこは政府というかお上を信じてやってみようとされているが、今までの経験上お上が個人の信用を裏切ることは当然あることで、危険な感じがする。例えば、政府に資産を管理される所以はない。マイナンバーカードによるオンライン資格確認もちょっとした手間で、カードは必要ない。マイナポータル利用契約をよくよく読むと、最終的にシステム利用者にすべての責任と同意を追いつけて、国は一切の責任は取らないと明記されている。国が個人の情報を管理したいがための利用規定である。
 協会はこの個人情報の漏えいから身を守り、権利の保護を期待できないことを周知しなければならない。協会が消極的ではあるが、保険証提示の代わりにマイナンバーカードが使用できると周知することに若干の抵抗を示している理由はここにある。例えば、将来的に政府が強制的にこの制度を推し進めると患者の病名など重要な個人情報がカードとリンクすることによって、病歴が数十年に渡って簡単に調べることができるのではと考える。安易に便利な制度と考えると、非常に恐ろしい面がある。
 個人の尊厳を重んじる立場として、健康保険証の情報、所得と支払った税金の情報、公的年金の情報、住民票に記載されている情報、雇用保険に関する情報、生活保護に関する情報。いずれも、唯々諾々と他人に知られたくないもので、ICチップの悪用でそういった個人情報が漏れる危険性を知った上で、マイナンバーカードの普及の推移を見守りたい。

ページの先頭へ