知事選候補者に要望  PDF

 協会は4月10日投開票の2022年京都府知事選挙に向け、候補者へ京都府の医療・福祉政策についての要望事項を送付した。新型コロナウイルス感染症を巡っては、新自由主義改革の政治により多くの保健所が廃止され、医師数・病床数も抑制が進められたことから、感染症法が謳う医療が保障されているかが最大の課題となっている。あらためて脆弱さが明らかになった医療提供体制について、国は感染症病床の増床や感染症専門医の養成などに取り組む姿勢は一切見せず、地域医療構想のさらなる推進と公立・公的病院の再編・統合方針も引き続き推進する構えである。これに対し地方自治体に求められるのは、国による医療費抑制策に毅然と意見を述べ、地域住民の生命と健康を守る医療政策を推進することであるとして、以下を要望した。

京都府の医療・福祉政策についての要望事項

◆新型コロナウイルス感染症対策

1、保健所が新興感染症対策の「中核機関」となれるように、保健所の設置数を見直し、保健師はじめ専門職と事務職の配置を抜本的に強化すること。そのうえで地域の病院・開業医をはじめとした医療機関と日常から連携し、感染拡大の際には患者に入院・外来医療を確実に保障できるようにすること。
2、新型コロナウイルス感染症に罹患した患者さんに良質かつ適切な医療を提供できるよう、病床確保につとめるとともに、多くの医療機関が感染症患者への外来・往診に参加してもらえるよう、補助金などを拡充すること。
3、新型コロナワクチンについて、3回目接種も速やかに行える体制を確保すること。さまざまな理由により、ワクチンを接種できない人たちに対する差別的取り扱いがなされないようにすること。

◆国の医療提供体制改革への対抗

1、国による医療費抑制のための医療提供体制改革に対峙し、府内すべての地域での必要な医療保障を目標に施策を進めること。
2、国に対し、地域医療構想を見直し、病院再編リストの撤回を求めること。地域医療構想調整会議や地域保健医療協議会においては、国の求める論点だけでなく、京都府としての医療保障ビジョンにより、地域の困難な実態に即し、その解決を議論する場とすること。
3、国のねらう、かかりつけ医以外を受診した際の「定額負担」導入に反対すること。

◆国民健康保険制度の拡充

1、国民健康保険制度の保険料負担が府民の生活を脅かすものとならないよう京都府としての法定外繰入を新たに行うとともに、国庫負担の大幅増額を求めること。
2、国に対し、医療保険制度・介護保険制度における窓口一部負担金や利用料負担軽減を求めるとともに、国保法第44条の一部負担金減免を積極的に活用する等、負担軽減に努めること。
3、従来どおり、都道府県による医療費適正化路線に対する慎重姿勢を堅持すること。

◆介護保険制度の改善

1、介護を必要とするすべての人が必要なサービスを受けられるよう介護保障を位置づけ直すよう、国に対し介護保険制度の抜本的改善を求めるとともに、保険料高騰の抑制が図られるよう府として支援を拡大すること。

◆福祉医療制度の改善

1、子育て支援医療助成制度の入院外における3歳以上の自己負担金は中学校卒業まで200円限度にすること。すぐに無理な場合であっても、早急に就学前までは200円限度にすること。
2、妊婦、産婦、褥婦に対する福祉医療制度を新設すること。制度設計にあたっては、①対象は母子健康手帳交付日から出産月の翌々月末まで②自己負担金は無料③所得制限はなし④給付方法は現物給付―とすること。
3、重度心身障害児(者)医療助成制度、重度心身障害老人健康管理事業の対象について、「内部機能の障害」は身体障害者手帳3級の交付を受けた患者まで拡大すること。
4、2017年12月末まで難病法に係る特定医療費助成制度に該当していたが18年1月から制度対象外となった患者について、「法別番号54」と同様の一部負担金で受診できるよう、福祉医療制度を新設すること。

ページの先頭へ