2022診療報酬 改定こうみる1  PDF

リフィル処方箋はじめ四つのポイント

入院外(全体)副理事長 福山 正紀

 今回の改定における「入院外」での大きなポイントは、①リフィル処方箋の取扱い②電子的保健医療情報活用加算③外来感染対策向上加算④初診時からのオンライン診療の新設―以上の4点が挙げられる。
 ①リフィル処方箋
 一定期間内に処方箋を反復使用するリフィル処方の仕組みが設けられた。リフィル処方箋の総使用回数上限は3回。リフィル処方の導入に伴い、処方箋の様式が変更された。改定後も当面の間、改定前の処方箋(旧様式)を取り繕って使用することができるが、リフィル処方しないことを理由に旧様式をそのまま使うことはできないとのことである。なお、「療養担当規則」が改定され、「リフィル処方箋使用中の合計の投薬量は、予見できる必要期間に従ったものでなければならない」とされ、この間の医学的責任は全て発行した医師が持つことになる。
 ②電子的保健医療情報活用加算
 初・再診料に電子的保健医療情報活用加算(7点、月1回)が新設された。オンライン資格確認システムを用いて、マイナンバーカードで資格確認し、当該患者の同意の下、薬剤情報または特定健診情報等を取得した場合に加算できる。
 初診の場合であって、保険証でオンライン資格確認した場合、または他の医療機関から当該患者に係る診療情報等の提供を受けた場合等、24年3月末までは3点を算定できる。
 施設基準は、オンライン請求を行っており、さらにオンライン資格確認システムを活用し、この点を院内掲示していることとなる。
 ③外来感染対策向上加算
 外来感染対策向上加算(6点、月1回)が新設された(届出が必要)。
 施設基準として、①新興感染症の発生時等に、発熱患者の外来診療等を実施する体制を有し、そのことを自治体のホームページにより公開している②新興感染症の発生時等に、発熱患者の診療を実施することを念頭に、発熱患者の動線を分けることができる体制を有する③感染防止対策部門を設置する④専任の院内感染管理者を配置し、少なくとも年2回程度、一定のカンファレンスに参加している―等が求められており、ハードルは高い。
 外来感染対策向上加算を届け出た診療所が、一定の報告を行うと、新設の連携強化加算(3点、月1回)が加算できる。また、院内感染対策サーベイランス等に参加している場合、新設のサーベイランス強化加算(1点、月1回)が算定できる。
 ④初診時からのオンライン診療の新設
 「オンライン診療の適切な実施に関する指針」が改定され、「原則直接の対面で行うべき」の文言が「『かかりつけの医師』が行うことが原則」に書き換えられた。これに加え、「かかりつけの医師」以外の医師が初診からのオンライン診療を行おうとする場合で、患者の医学的情報を十分に把握できない場合であっても、診療前相談を行って双方がオンライン診療が可能であると判断し、相互に合意した場合は、初診からオンライン診療を実施することが可能とされた。
 「指針」の変更を診療報酬へ落とし込むために、「初診料(情報通信機器を用いた場合)」が新設された。
 また、特定疾患療養管理料を含む19の医学管理料等、在医総管・施設総管、在宅自己注射指導管理料でオンライン診療の点数が新設され、この点数は対面診療よりやや低いものの、前回設定点数と比べ高く設定された。
 オンライン診療普遍化の究極の意図は「対面診療」を原則と考えるあり方の解体であるとも考えられる。
 本紙第3116号で鈴木理事長が述べた通り、今回の改定は国民・患者にとって「療養の給付」の改善ではなく、政府・財界が求める政策誘導的な点数の新設に終始したものである。

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