医界寸評  PDF

 山間鄙地の当院も、第6波では連日陽性者が出ている幼保園児からの家族内感染が増え、濃厚接触者となる職員もあり、診療に支障が出ている▼保健所から有症状の患者の診察依頼を受けることがある。リモート診療は安全だが、発熱外来で対面診療した患者と違い、発症時の顔を見ていないので心配である。暫くぶりの患者は尚更である。院内処方なので、リモート診療後の投薬時に、可能なら車で受診してもらい、ガラス越しに診察、その場で処方を変更することもある。患者が笑顔を見せるとほっとする▼三密を避けるため、通信・IT機器の使用による社会の非接触化が進んでいる。コロナ禍が去っても感染恐怖は残る。便利さもありこの傾向はさらに進むだろう。ウェブ会議は移動や開催場所設定が不要だ。VR世界に入れば居ながらどこへでも行け、体験したような記憶が残る。置配を利用すれば人目に触れず生活できる▼バブル内での引きこもり生活となる。表を通るのは、エッセンシャルワーカーと労働集約型産業従事者だけ。子どもも感染を恐れ外で遊ばない。街はゴーストタウンとなり、バブル内のウェブ活動で収入を得る人と、街を歩く人との間で社会の分断が始まる▼地域社会はどうなっていくのだろうか? 私はできる限り生身で人と関わりたい。患者さんとも直で接していきたい。(恭仁)

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