主張 補助金等で煩雑になる確定申告 会計処理や課税関係にご留意を  PDF

 昨年は新型コロナに翻弄され、今年もワクチンの3回目接種など慌ただしい年の始まりとなっているが、穏やかな一年になることを願いたいものである。
 協会の共済事業である休業補償制度では、22年(1月1日)加入分から医療機関一括告知制度を始めた。従来は加入者ごとに個別の健康状況の告知してもらっていたものを条件を満たせば簡略化する制度で、すでに何件かご加入いただいた。ご検討いただければ幸いである。(関連5面)
 さて、21年11月に国税庁から気になる発表があった。一つは法人税の実地調査で「不正発見割合の高い10業種」として「医療保健」が4位とされた。次いで、所得税の調査では「事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種」の3位に内科医がランクされた。1件当たりの申告漏れ所得金額3339万円と驚異的な金額が公表されている。詳細については公表されていないので不明だが、COVID-19で調査件数が例年に比べて激減している中、狙いを定めて調査に入ったということ。また外出制限等で例年上位にいる風俗業がランク外になったことも、例年にないランキングになった原因と推測する。
 医療業界において不正な申告があったことは事実であり、気を引き締める必要はあろう。興味本位に医療たたきをするマスコミが出てくるのではと危惧していたが、今のところはないようだ。21年度は補助金などでイレギュラーな収入が多いこともあり、確定申告では十分注意する必要がある。本紙でも確定申告の留意点について専門家による解説記事を掲載させていただく。また会員各位におかれては顧問税理士と十分相談いただければと思う。
 21年度は新型コロナワクチン接種で自由診療収入が増えた医療機関が多いと思うが、年間の消費税課税収入が1000万円を超えると消費税課税事業者になるため、22年度の課税収入が1000万円以下になっても23年度は消費税の申告・納税が必要になる。これも顧問税理士とご相談の上準備いただきたい。(関連6面)
 最後に消費税の関係では最近インボイス制度で小規模の事業者が打撃を受けるという話を聞かれることが多いと思うが、医療機関ではまず関係ないものと考えている。
 不明な点などがあれば、協会の無料相談室も積極的にご活用いただければ幸いである。

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