反核医師のつどい in 千葉 核禁条約発効後の廃絶運動語る  PDF

 第31回反核医師のつどいin千葉が10月30・31日の両日、オンラインで開催された。つどいには、松井広島市長、田上長崎市長、中川日本医師会会長らからメッセージが届いたほか、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)事務局長のベアトリス・フィン氏からのビデオメッセージが紹介された。
 シンポジウム「核兵器禁止条約発効後、核兵器廃絶に向けて求められるもの」は、児玉三智子氏(千葉県原爆被爆者友愛会会長)、冨田宏冶氏(関西学院大学教授)、前川史郎氏(原水爆禁止日本協議会担当常任理事)の3氏が報告。
 児玉氏は7歳の時、広島で被爆。直後の地獄の光景と、生き延びた被爆者の生活苦、偏見、差別の苦しみを語り、「原爆は、人として死ぬことも、人間らしく生きることも許さなかった」と話した。日本政府は被爆者に沈黙を強い、原爆被害を隠蔽し、苦しむ被爆者に何の援助もせず見捨てた。被爆者はビキニ被災後の原水爆禁止運動の広がりに支えられて、被爆後11年目に日本原水爆被害者団体協議会を結成。「自らを救うとともに、自らの体験を通じて人類の危機を救う」と決意を誓い合い、「ふたたび被爆者をつくるな」と訴え続けてきた。もし、核兵器がふたたび使われることがあれば、原爆被害は過去ではなく、皆が当事者となる。「核兵器廃絶を世界の歴史に刻むのは皆さんだ」と訴えた。
 冨田氏は、児玉氏の報告を受けて、被爆者の体験と闘いの継承は「人類的課題」であり、運動の原点だとした。そして、核兵器禁止条約は非合法化を先行させ、完全廃絶につなげるための条約であり、直ちに核兵器の廃棄をもたらすものではないとし、発効後も違法な兵器を持ち続ける国家こそ、真の「ならずもの国家」だとし、国際的な世論と運動で日本政府に条約参加を迫っていくことが求められるとした。
 前川氏は、被爆国にあるまじき日本政府の姿勢に国際社会からも厳しい批判があり、国内世論は「条約に参加すべき」が大勢を占める中で、真に核兵器廃絶へ向けた取り組みが求められると語った。
 また、「Don’t Bank on the Bomb」の活動報告として、近畿反核医師懇談会の松井和夫氏から、金融機関に対する2回目の公開質問状への回答結果が報告された他、「原発問題を考える」と題した講演が行われた。最後に、核兵器廃絶と原発全廃の実現を希求し、房総の地から、「核兵器の暴走」を止めるべく奮闘するとのアピールを採択して、閉会した。

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