「外来医療」への本格的介入 報告制度に警鐘 医療政策セミナー  PDF

 協会は10月27日、「外来機能報告制度の概要―その本当のねらいを考える―」をテーマに医療政策セミナーを会員病院向けにウェブ配信により開催した。参加は31端末(1端末での複数視聴あり。最終申込は47人)であった。
 医療政策セミナーは会員病院の幹部職員向けに不定期で開催している。今回のセミナーは、5月21日に公布された、いわゆる「改正医療法」で位置付けられた「外来機能報告制度(以下「本制度」)」を中心に協会事務局が話題提供した。
 「改正医療法」には三つの柱(①医師の働き方改革②各医療関係職種の専門性の活用③地域の実情に応じた医療提供体制の確保)があり、本制度は地域医療構想の実現とともに③に位置付けられる。いずれも医療費抑制に主眼が置かれ、関係性のある内容である。
 本制度は、いわば地域医療構想の外来版だ。具体的な進め方は、現在「外来機能報告等に関するWG」で議論されており、22年4月(医療機関からの報告は10月)からの運用が予定されている。報告は病院と有床診療所に、入院前後の外来や高額医療機器・設備を必要とする外来など「医療資源を重点的に活用する外来」について求められる。
 報告項目は「地域の協議の場における外来機能の明確化・連携に向けた協議に資するもの」などが検討されている。外来機能の再編・淘汰につながることが容易に想像でき、国家が「外来医療」への本格的介入に着手したと言える。現時点で無床診療所は本制度の対象外とされているが、将来的には対象となる可能性があり、「かかりつけ医」制度化(フリーアクセス制限、自由開業規制、人頭登録制)の動きともリンクしていると考えるべき―などと解説した。
 協会では今後も時宜に応じたテーマで医療政策セミナーを開催していくので、その際にはぜひご参加いただきたい。

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