地区医師会長との懇談会 コロナ診療体制の維持発展は公的支援と診療報酬の拡充で  PDF

 協会は9月25日、京都府内の各地区医師会長との懇談会をウェブで開催。地区医師会から18人、協会から8人が出席した。「新型コロナウイルスを取り巻く諸課題と今後の医療提供体制」「2022年度診療報酬改定―コロナでどうなる中医協での議論」をテーマに意見交換を行った。自宅療養中の陽性患者に診療を行う医師の補償、後発医薬品供給体制の問題に対する意見が多く出された。

 開会に際し鈴木理事長は「多くの専門家が冬にかけて第6波が起こると予想しており、国は、医療提供体制や病床が逼迫している中でも、高度急性期・急性期病床と公的病院の病床の削減政策をさらに進めようとしている。それに対抗する新たな医療制度、医療提供体制を考えなければならない」とあいさつした。
 新型コロナウイルス感染症対策として診療報酬上の臨時的取り扱いである感染症対策実施加算が9月末で廃止されることに関して、地区からは「9月末で廃止となる根拠や説明はどのようにされているのか」「特例加算は継続してほしい。第6波がいずれ来るはずだ。まだまだ廃止する状況ではない」との意見が出された。
 協会からは「9月24日に行った厚労省要請の際には厚労省の事務方も情報を把握できていなかった。10月以降の取扱いがどうなるのか分かりにくいので、判明次第、周知していく」と回答。後日、グリーンペーパー№302(10月25日発行)に掲載した。

休診時や検査実施時の補償求める

 病床等が逼迫し、自宅療養者が増加する中、健康観察等を開業医が担うことに関して、地区から「万が一開業医が新型コロナに感染し医療機関を休診した場合、地域医療や従業員に与える影響が大きい。補償がなければ、積極的に関与できない」と意見が出された。
 協会は「京都府・京都市への要請として、医師・看護師が陽性患者を診療して感染し、医療機関を休診した場合の補償制度の創設、定期的にPCR検査を実施するための財政的な補償などを要望している」と報告。
 その他にもワクチン接種事業に関して、地区から「予約連絡やワクチンの希釈、管理のどれを取っても大変。接種後の観察やデータ入力、VRSの読み取り作業なども非常に時間を要する。接種協力医療機関に、国から協力金は出ないのか」などの要望も出された。

後発医薬品の供給体制強化を

 国は、後発医薬品の数量シェアを2023年度末までに全都道府県で80%以上にすると掲げているが、後発医薬品の供給体制の問題に関して、地区から「利益の出ない後発医薬品は気付けば先発医薬品だけになっている。そうなると後発医薬品を処方しづらい」「供給不足等で薬剤を変えると患者への説明が必要になる。より利益のある薬剤に医師が変更しているのではないかと患者に不信感を持たれる」との意見が出され、後発医薬品の供給不足が診療に影響を与えている。
 協会からは「後発医薬品の供給不足に関する代議員アンケートを実施しているところだ。アンケート結果をもとに要請や、マスコミへの発表等を考えている」と回答した。

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