医界寸評  PDF

 少し前、東京で若い世代のコロナワクチン接種希望者が行列をなし、大変なことになっている様子をニュースで見た▼直接関係ないが、首都圏の交通網では1カ所障害が起こると他の路線にも大きな影響を及ぼし、さらに台風・積雪などで広範囲の交通障害が発生すると多数の帰宅困難者が発生してしまう。人口や産業の過度な首都圏への集中を感じる▼江戸時代に人口100万人と推定される江戸であるが、末期には参勤交代の義務がなくなり、藩所属の多くの武士が地元に戻ってしまったため、人口減少、経済活性も低下し江戸が寂れたという。首都圏に人口、企業、官庁が集中しているのは経済活動の上では効率が良いのだろうが、ギリギリまで効率化されたシステムは歯車が一つ狂うと全体がおかしくなってしまうので適切な冗長性は必要であろう。効率性と非効率性、どこでやりくりを付けるのかは難しい問題だ▼最近の後発医薬品メーカーの不祥事に端を発する薬品供給の不安定。また定期接種のワクチンも常に何か不足しているように思う。医薬品メーカーも企業である以上利潤を追求するのは必然だろうが、常に利潤追求が求められる「新自由主義」は医療分野との相性が悪い気がする。医療界でも効率化と冗長性の最適化に努めなければならないが、行政にも力を発揮していただきたいと思う。(内)

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