主張 医療を取り巻く諸課題 率直な声をぜひ協会へ  PDF

 2020年の4、5月に第1波が到来した新型コロナウイルス感染症(以下コロナ感染症)は、その後も感染拡大と一過性の沈静化を繰り返し、21年の8月には過去最大の感染者数を記録した第5波を迎えた。
 政府のコロナ対策の柱は緊急事態宣言やワクチン接種の推進であるが、繰り返される宣言は次第に緊張感を欠くようになり、人流の抑制は思惑通りには進んでいない。にもかかわらず、第5波の新規感染者数はピークを過ぎた後、比較的速やかに減少してきているようにみえる。京都府にあっても、新規感染者数、入院確保病床使用率や自宅療養者数などは低下傾向にある(9月中旬時点)。
 日本の人口の約半分がワクチンを2回接種できたことが功を奏しているのかもしれないが、そうであったとしても、諸外国のワクチン接種後の行動規制緩和に伴う感染再燃や、RNAウイルスに宿命的な多種多様な変異株の出現、変異株に対するワクチン有効性の懸念などの不安定要素を考慮すると、今後第6波が生じるなど、コロナ感染が収束するには年単位の時間が必要であろうと思われる。
 さらに昨年の冬はインフルエンザの流行が見られなかったが、「COVID-19とインフルエンザの流行期が重なることによる外来受診患者の増加や医療体制の逼迫は、今冬にも懸念される」(日本ワクチン学会)との指摘がある。これからの季節、さらなる医療機関の負担が増すことが憂慮される。
 こうした状況の中、今年も各地区医師会と保険医協会との懇談会が始まる。コロナ感染症を見据え、オンラインでの開催が中心となる。今年度の協会からのテーマとしては、①新型コロナウイルスを取り巻く諸問題と今後の医療提供体制②22年度診療報酬改定―コロナでどうなる中医協での議論―を掲げている。
 “beforeコロナ”の時代以上に、ぜひ地域の会員の皆様の率直な声を協会に届けていただきたいと思う。そしてコロナ感染症の収束が見通せない中、直面する地域での課題や実情を教えていただき、協会として何ができるかを追求したい。

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