医界寸評  PDF

 線状降水帯という耳慣れない気象による豪雨と、体温超えの猛暑。異常気象での災害は年々増加し、甚大な被害の多くは地方で発生している。文明発達、国家形成の源である治水治山も、地方は被害が低く想定され、軽視されてきた結果である▼デルタ株の感染拡大にオリンピックの連休も重なり、首都圏のみならず地方まで感染が拡散。2類感染症での隔離は不能となり、必要な医療の提供も困難になった。予防接種終了者の重症化が抑制されているのが救いだ。軽症者の治療法がない今、感染拡大は防止できず、SARS-CoV-2は我々の社会に定住していく▼繰り返す緊急事態宣言で、失業や廃業が増え、要請に従わない(従えない)企業・個人の活動も目立つ。要請に強制力がない今、活動時の具体的な規範を示し、良識ある行動を望むしかない。社会もSARS-CoV-2と同居の覚悟が必要である▼列島改造ブームは地方から特色を奪い過疎化が進行、東京はすべてが集中し密になった。過疎の地方は災害でさらに衰退し、密な都会は感染が蔓延する。SARS-CoV-2はその密な東京から地方に拡散している。COVID-19は厄介な感染症として定着し、狭くなった世界は新たなパンデミックに襲われる。異常気象も増幅し、あと数十年は続くであろう。ステイホームで激論できない今は黙考しよう。(恭仁)

ページの先頭へ