「汚染水」の海洋放出に抗議 国に撤回を求める  PDF

 協会は、福島第一原発の敷地内に保管されているトリチウム「汚染水」の海洋放出に反対し、4月13日付で国に抗議文を送付した。
 燃料デブリを冷やすためにかけられた水は、デブリに直接触れることで高い濃度の放射性物質を含んだ汚染水となるため、トリチウム以外の放射性物質を除去するとされる多核種除去設備ALPSで処理される。政府はこの処理済み「汚染水」を大気中への蒸気放出、あるいは海洋放出のいずれかで処分することを検討してきたが、福島県の漁業関係者らが反対する中、13日に福島県沖の太平洋に放出する計画を承認した。
 2020年に行われた関係者への意見聴取会でも「処理水にはトリチウムなどの放射性物質が含まれている」ことは事実であり、そのことによって各種事業が受ける損失は「風評被害などでは断じてなく、故意の加害行為による損害」だと指摘されている。福島県議会をはじめ県市町村の7割を超える市町村議会でも反対や慎重な対応を求める意見書や決議が採択されており、こうした声をまったく無視するようなトリチウム「汚染水」の海洋放出強行は、断じて許されるものではない。
 またこの間、ALPS処理水の約8割にトリチウム以外の放射性物質が残存していることも指摘されている。東京電力柏崎刈羽原発で、原発の安全と核セキュリティーを損なう深刻な事態が発生し問題視されている東京電力には、原発を扱う資格も能力もないことが露呈し、安全対策にも極めて強い疑念を抱かざるを得ない。
 協会は、命と健康を守る医師の立場から、トリチウム「汚染水」の海洋放出は決して行わないよう求めた。

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