代議員月例アンケート 128  PDF

オンライン資格確認は医療機関にとってメリットがあるのか
実施期間=2020年12月16日~21年1月15日
対象者=代議員87人 回収数=38(回収率44%)

導入の長短踏まえ慎重に検討を

 マイナンバーカード(MNC)を用いたオンライン資格確認の制度が21年3月から開始される。「オンライン」と言えば、09年のオンライン請求の義務化が思い出されるが、今回のオンライン資格確認の導入は義務ではない。導入しなくてもペナルティーはない。21年3月以降も従来通り、保険証を目視して資格確認する方法で問題はない。
 21年2月7日現在、顔認証機能付きカードリーダー(以下CR)の申込率は病院で38・0%(京都府では43・4%)、医科診療所で21・0%(京都府では16・8%)。MNCの交付状況は全国で25・2%、京都府では25・9%となっている。
 オンライン資格確認はMNCだけでなく被保険者証でも可能であるが、21年1月に出された医療機関向け「運用マニュアル」によれば、「月初の実施など各医療機関で異なる個別運用を実施している場合は、そちらを優先することも可能」だが、「原則、MNCもしくは保険証の提示を求め、都度のオンライン資格確認を行う」とされている。
 一方、政府が喧伝しているメリットだが、初診時に被保険者情報を電子的に得られる以外に、医療機関に何かメリットはあるだろうか。投薬情報はお薬手帳で確認できるし、健診結果も健診を受けた際その結果を持参する旨、患者に伝えている会員も多いだろう。
 結論を言うと、協会は現状、「オンライン資格確認は医療機関にとってメリットなし」と考えている。また、マイナンバーを医療機関が扱うことに反対している。その立場から、会員に対してMNCによるオンライン資格確認を現状、推奨していない。
 しかしながら、民主的な会務運営のためにも、代議員の意見を聞いた。

導入したいかどうか

 20年8月2日の総会アンケートでは「オンライン資格確認を導入したいと考えているか」という質問に対して「導入しない」が41%、「決めかねている」が31%、「分からない」が17%、「導入したい」が10%であった。
 今回、改めてMNCを用いたオンライン資格確認を導入する予定か質問した。
 「今のところ導入するつもりはない」32%、「導入しない」26%、「導入すると決めている」21%、「決めかねており、状況を見て検討する」18%との結果であり、導入しようとしている方が1割ほど増えた(図1)。

導入のメリットは?

 MNCを用いたオンライン資格確認導入のメリット(導入する意味)だと思える点は何か、全員に質問した。(複数回答。分母は回収数)
 「患者の保険資格(資格喪失)がその場で確認できるようになる」82%、「患者の保険資格情報のデータ取り込みができる」37%、「患者同意により特定健診データ、薬剤情報が閲覧できるようになる」26%、「時流に取り残されたくない」18%等の結果であった(図2)。
 「その他」11%の意見として「事務作業が単純化され、ミスがなくなれば」という意見があったが、「運用マニュアル」を読む限り窓口の事務が簡素化されるとは言い難い。

導入のデメリットは?

 MNCを用いたオンライン資格確認のデメリット(導入しない意味)だと思える点は何か、全員に質問した。(複数回答。分母は回収数)
 「MNCで受診する患者はそれほど多くないと思う」53%、「現状の被保険者証の確認方法で充分」47%、「患者がMNCによる資格確認に対応できそうになく窓口業務がかえって増える」47%、「基金・国保との常時接続についてセキュリティ上の安全性に疑問を感じる」42%、「MNCを医療機関で扱いたくない、持ってきてほしくない」39%、「患者がMNCを院内で紛失した際の対応が面倒」37%、「導入時の補助金が全額補助でなく、回線導入やメンテナンスに費用がかかる」29%等の結果であった(図3)。

特定健診データ、薬剤情報の閲覧

 MNCを用いたオンライン資格確認を導入した場合、患者の特定健診データ(21年3月~)、薬剤情報(21年10月~)が閲覧できるとされている。その際の患者同意はCRで患者自らが毎回承認アイコンを押して承認することになる。これのみならず、患者の特定健診データ、薬剤情報をネットで閲覧できる制度についてどう考えるか、質問した。「良い制度だとは思わない」が61%であった。その理由を質問したところ、9人がセキュリティやデータ漏洩への懸念を掲げた。現状の検診結果、お薬手帳持参で充分との意見もあった。
 一方、「良い制度だと思う」は37%であった(図4)。その理由を質問したところ、「かかりつけ医が患者の健康状態を大体把握できる」「検査や薬剤の重複を防げる」「お薬手帳を持参しない患者があまりに多いから」「情報はなるべく多く得たい」「過去のデータが確認できるのは患者にとってもメリット」等の意見が出される一方、ここでも4人がセキュリティやデータ漏洩への懸念を掲げた。

保険証廃止の方向性の是非

 自民党・デジタル社会推進本部は20年11月17日、「デジタル庁創設に向けた第一次提言」を取りまとめ、被保険者証をマイナンバーカードと一体化し、被保険者証を将来的に廃止するよう提言した。この方向性について質問したところ、「反対」47%、「分からない」29%、「賛成」21%であった(図5)。
 オンライン資格確認補助金申請にかかるシステム設置の期限は23年3月31日までとされている(補助金の申請は設置後で、期限は同年6月30日まで)。CRの無償提供の申込みについては、申込みから提供まで4~6カ月かかるため、22年9、10月までに申し込めば間に合うと考えられる(協会から医療情報化支援基金に照会した内容)。メンテナンス費用、ランニングコストは継続してかかると念頭に置かなければならない。今すぐに申し込まなければならないものではないので、しっかり検討していただきたい。

図1 オンライン資格確認の導入
図2 オンライン資格確認の導入メリット
図3 オンライン資格確認の導入デメリット
図4 患者情報を閲覧できる制度について
図5 被保険者証の廃止について

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