自宅療養者の医療で実態調査 府内の入院逼迫で対応迫られる  PDF

 新型コロナウイルスの感染拡大で、京都府でも病床逼迫により、本来は入院すべき患者さんが自宅待機のまま亡くなるケースが複数報告されている。年末・年始あたりから入院も施設療養もできず、自宅療養・入院調整中の陽性患者が相当数に上っており、府資料では2月1日時点で、自宅療養823人、調整中186人となっている。
 国の通知上、陽性になった患者さんの健康観察は保健所が担う。医師の診療が必要だと判断する場合は、本来は保健所の求めに応じての診療、という仕組みとなる。しかし、保健所の健康観察が充分になされているか自体が不安な状況にあり、なかなか入院させてもらえない患者さんを開業医が往診するケースも出てきている。
 協会は、京都府とやり取りしながらこうした場合の公費負担医療としての請求方法を会員に周知するとともに、府に責任ある体制をつくってもらうための実態調査を行った。
 調査はFAX登録している会員1781人に2月5日送付。回答は159人。
 新型コロナ自宅療養者へ「往診」4人、「電話再診」20人、「その他」12人、計36人(24%)が対応しており、ほとんどの方は「遭遇していない」との回答であった。そのうち、「緊急入院等あった」が10件、「救急搬送で入院できなかった」が3件あった。
 困ったことでは、「保健所と連絡がとりにくい」が25人、「請求方法がわからない」が11人、「防護具が充分でない」が2人。
 具体的事例では、「89歳高血圧の一人暮らしの方、FAXで発生届を出した。SpO2低下あり病状を説明したかったが、何度電話してもつながらなかった。入院されていると思っていたら数日後、本人から電話相談があり驚いた。結果的には軽症でよかったが、入院できなかったことを主治医が知らずパルスオキシメーターも診察もなく悪化していたら死のリスクがあった」など保健所との連絡がとりにくい中で、対応している開業医の姿が見て取れる。入院したかどうかが主治医に知らされない問題も指摘されている。

府が訪問診療を開始

 京都府は2月5日、コロナウイルスに感染し自宅療養をしている高齢者を対象に訪問診療を開始すると発表した。自宅療養中に治療が必要と判断した場合、入院医療コントロールセンターから訪問診療を担う医師や看護師らでつくるチームに要請する。京北地域を除く京都市を対象とし今後拡大するという。

新型コロナ自宅療養者に対する医療の実態調査

医療が必要になったケース 往診した 4 3%
電話再診した 20 13%
その他 12 8%
遭遇していない 123 77%
病状悪化が危惧されたケース 緊急入院や死亡 10 6%
救急搬送で入院できず 3 2%
悪化なし 20 13%
無回答 126 79%
困ったことや不安なこと(複数) 保健所と連絡がとりにくい 25 16%
請求方法わからない 11 7%
防護具が充分でない 2 1%
その他 7 4%

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