医界寸評  PDF

 コロナの第3波到来が鮮明になり、インフルエンザの流行時期も迫ってきた。多くの医療機関もその対策に躍起になっている。感染拡大を防ぎ、コロナ重症感染者の死亡者を少しでも減らすことが最も大切だが、その一方で、コロナ感染者に対する差別、コロナ関連の訴訟などの問題が浮き彫りになっている。韓国、欧米では、コロナ関連の訴訟が数多く報告されている▼広島県三次市の介護施設でコロナに感染していた担当ヘルパーが訪問を控えていれば母親は感染を防げたとし、運営会社の安全配慮義務違反や使用者責任を問うている。結局、問題提起できたとして示談となったが、今後このような訴訟が増えてくると思われる▼感染症の拡大という事例では感染者がどのような経路で感染したかを証拠で明らかにする必要がある。患者から感染した可能性もあれば無症状の人から感染した可能性もあるので、現実的に感染経路の同定は困難である。GoToキャンペーンなどの経済活動活性化の影響で感染経路不明の感染者が増加している中、なおさらその特定は不可能に近い▼コロナ感染を理由に損害賠償請求しても困難な場合が多いと言える。安易に訴訟を起こすのではなく、今一度、各々が感染拡大を防ぐべく、手洗い・うがいの励行、マスク着用、密を避けることに全集中する時である。(フーちゃん)

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