核兵器禁止条約批准で 政府は明確な意思表示を  PDF

 「あらゆる核兵器の使用から生ずる壊滅的で非人道的な結末を深く憂慮し、したがって、いかなる場合にも核兵器が再び使用されないことを保証する唯一の方法として、核兵器を完全に廃絶することが必要であることを認識し」(前文)。 「締約国は、いかなる場合にも、次のことを行わないことを約束する。 核兵器その他の核爆発装置を開発し、実験し、生産し、製造し、その他の方法によって取得し、占有し、または貯蔵すること。 核兵器その他の核爆発装置またはその管理をいずれかの者に対して直接または間接に移譲すること。 核兵器その他の核爆発装置またはその管理を直接または間接に受領すること。核兵器その他の核爆発装置を使用し、またはこれを使用するとの威嚇を行うこと。この条約によって締約国に対して禁止されている活動を行うことにつき、いずれかの者に対して、援助し、奨励しまたは勧誘すること。この条約によって締約国に対して禁止されている活動を行うことにつき、いずれかの者に対して、援助を求め、または援助を受けること。 自国の領域内または自国の管轄もしくは管理の下にあるいずれかの場所において、核兵器その他の核爆発装置を配置し、設置し、または展開することを認めること」(第1条)。
 これらを骨子とする核兵器禁止条約が、発効に必要な50カ国・地域批准数に達し、90日を経て2021年1月22日に発効する。
 この核兵器を全面禁止し、核兵器を非人道的兵器とする国際規範の誕生は核廃絶への圧力になる一方、現保有国の米ロ英仏中、イスラエル、インド、パキスタン、北朝鮮ならびに核の傘に依存する国々、そしてヒロシマ・ナガサキのヒバクにもかかわらず日本も参加・批准していない。これらの非締約国に条約遵守義務はなく、条約の実効性確保は今後の課題となる。
 国際世論の主流は、抑止論、安全保障論から、核兵器使用のもたらす壊滅的非人道性に大きく変化した。この流れは紆余曲折はあるにしても、今後変わることなく続くであろう。我々に課せられているのは国際的なこの流れを強め、条約締約国増加など実効性強化に働きかける運動が求められる。一方、ヒロシマ・ナガサキをもつ日本の条約参加は大きなインパクトを持ちうるであろう。抑止論・安全保障論の再検討から、核兵器使用がもたらす現実的・人道的な問題への考察を深め、そして日本政府はこれらの問題に対し後退姿勢から脱し、またこの条約に参加せずに、参加・不参加の国々の「はしわたし」(?)などというのでなく、核兵器廃絶への明確で具体的な立ち位置を示すべきである。

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