環境問題を考える 147 地球温暖化依存性パンデミック?!  PDF

 地球上の生物で人類ただ一種の、かつその一部の恵まれた人々を主としたエネルギーの浪費に伴い出現してきた温暖化は加速傾向にあり、全地球生物の存亡にも関わるような大事となりつつあるようです。近年シベリアなどの永久凍土層の溶解や、CO2より10倍以上強力な温室効果ガスとされるメタンの大気中への放出が報告され始めました。
 永久凍土層には人類出現以前の未知のウイルス、病死した人や大型生物なども凍結保存されており、これらの溶解により誰も免疫を持たない致死性病原体が世界に放たれ、パンデミックを起こす可能性は絵空言とは言えないでしょう。実際に世界各地の氷河や氷床よりは多くの未知のウイルスや、既知のものでも過去のパンデミックのインフルエンザ・天然痘などのウイルス・炭そ菌の芽胞・病原性細菌などの存在が報告されています。
 さて未知のパンデミックに対しては、イデオロギー抜きの全人類で立ち向かわねばならないのが当然なのですが、現在のCOVID―19のパンデミックに対する世界各国の首脳達の立ち振る舞いは、およそヒューマニズムとはかけ離れています。
 例えば政治家は明日にでもワクチンができるような口ぶりをしていますが、副反応・抗体持続性・抗体依存性感染増強・ウイルス変異など問題は山積しており、もし完成したとしても安全に一般大衆に接種可能になるまでには年余の時間が必要でしょう。
 また複数の大国が政治道具として、完成もしていないワクチンを餌にした、積極的な外交を行っているようですが、まだ効果や安全性は証明されていないことを心するべきでしょう。
 全世界への平等なワクチン配布を目的とした、COVAX Facility にもワクチン開発中の大国である中国・アメリカ・ロシアは参加しようとしませんでした。
 なお今回のパンデミックの影響を軽視したり、経済優先発言をしていた首脳たち9人は、「政治家は科学者や医師よりも生死に多大な影響を与えられる事を実証した」としてイグノーベル・医学教育賞(副賞:10兆ジンバブエドル 最低時レートで約4円・換金不能)に輝いています。最初期に流行の隠蔽を指導したとされ、今回のパンデミックの最大貢献者であろう某国指導者が含まれていないのが不思議ですが…。
 まあ開いてしまったパンドラの箱は今さら仕方ありません。今後も繰り返されるであろうパンデミックに対し、残された希望の虫を生かす科学的思考のできる、聡明で実力のある政治家(できれば医系)の出現を切望して止みません。
 実情を見ていると、医師や科学者は政治家に比し無力と思わざるを得ないのです…。
 法治国家なのに自己都合で法すら順守しようとしない某大国の指導者に対し、NEJMに非難の意見が掲載されました。聞く耳は持たないでしょうが…。
 無理が通れば道理が引っ込む・意地を通せば窮屈だ、とかく人の世は住みにくい…嗚呼。
(環境対策委員長・武田 信英)

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