死んでたまるか ただいま、リハビリ奮戦中 回復期のリハビリテーション  PDF

垣田 さち子(西陣)

 回復期リハビリテーション(以下、回リハ)病棟へ入院するには、厚生労働省が定める疾患などの条件や入院期間があり、受けてくれる転院先との調整が厄介である。私のような脳血管疾患や脊髄損傷などは発症から2カ月以内の転院が必要で、最大入院期間は180日。大腿骨や骨盤などの損傷であれば、転院は発症から1カ月以内で、最大90日の入院期間だ(当時)※1。一般に入院期間短縮が病院の課題になっている時に、回リハは最大180日と長期入院が可能で、しっかりリハビリに専念できる制度として画期的だった。京都もこの数年で充実した。
 しかし、回リハ病棟と一口にいっても、看護師やリハビリスタッフの配置人数、1日に提供できるリハビリの単位数・種類、重症患者の割合、在宅復帰率などによって、6段階の病棟基準に分類され、入院料6の1647点から入院料1の2085点(当時)※2と報酬も変わる。転院はタイミングの問題が大きかった。
 私の場合は、娘が勤務している大阪の関電病院に転院させてもらうことになっていた。タイミングが合い、急性期リハを少し早めて、8月半ばで転院した。
 回リハでは、自宅や社会に帰ってからの生活を少しでも元に近い状態に戻せるように1日最大3時間の専門職によるリハを中心にプログラムが組まれる。半年は長い。年末までには帰らねば、と思っていた。
 9職種によるチーム医療が目指され、医師、看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、看護補助、医療ソーシャルワーカーたちが、チームを組んでサポートしてくれる体制は頼もしい。介助法を共有するため、ベッドから車椅子へ移動する時の立ち位置、動作の順番、トイレ介助も、便器に向かって車椅子を何度の位置に止めるか、等々検討の上写真に撮ってパネルにして貼ってくれる。OTのM氏の仕事は素早く、スタッフはパネル通りに指示を共有し、大事な基本動作の確認が行われ、私はほっと安心した。
 関電病院の回リハ病棟は17階にあり、真ん中にスタッフルーム、入浴、トイレなどの諸設備がまとめられ、そのまわりを廊下がぐるっと回っていて、1周するとちょうど100メートル、この目安は歩行訓練時に大いに役立った。コーナーにはガラス張りの広いスペースが設けられ六甲山の山並み、瀬戸内海にかかる明石大橋、東の方には生駒の山並み等が望め、夏の終わり、秋、冬と移り変わる景色を堪能し、海の近くでの初めての大阪暮らしの緊張を随分和らげてもらった。
 起床時から就寝時までの間、食事や着替え、入浴、歯磨きや整容、排せつなど日常的な動作も含めた生活全体をリハビリととらえサポートが行われる。夜間排泄時の介助なども含め、24時間、見守り重視の手厚い看護体制だった。ナースコールを押すと待たされることはなく安心だった。朝晩、時間があればお昼ご飯を食べに、娘が顔を見せてくれる。幸せだった。
 ※120年度改定で、転院までの期間制限はなくなった。
 ※220年度改定で、入院料6は1678点、入院料1は2129点となっている。

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