主張 「stay home」下でどう療養指導をすすめるか  PDF

 新型コロナ感染症拡大により「stay home」を強いられることに特段の違和感を感じなくなりつつある昨今であるが、臨床の現場において従来行ってきた療養指導について、今こそ考え直すべき段階ではなかろうか。
 例えば、これまで我々医療人が患者サイドに勧めてきた療養指導の中で大きな柱である「運動療法」であるが、具体的運動処方を行う医療機関は多くないにしても、内科・外科系疾患を問わず、あまねく運動の効果が少なくないことは、衆口一致するところである。
 生活習慣病と呼ばれる範疇の疾患群に至っては、薬物治療と同じかそれ以上の比重を占める運動療法の位置づけを今一度再確認した上で、日常生活が大きく制限された現状を考えてみるべきであろう。
 ことほど左様に、今般の「stay home」による影響は単なる運動不足に留まることなく、生活習慣全てに及んでおり、肉体的制限をはじめ、食事栄養面、精神衛生面、社会生活面、等々まさしく枚挙に暇がないほどの変化をもたらしていることは周知の通りである。
 かくいう筆者のクリニックにおいても、すでにその影響は如実に表れており、複数の患者で高血圧のコントロール不良、糖尿病の悪化等の目に見える問題点が顕在化しているが、今後はそれ以上に長期的な悪影響が潜在化し蓄積していく懸念を持たざるを得ない。
 とは言いつつ、制限された生活の中での療養指導について、具体的指針のない中で頭を痛めているのが臨床医の現状であろう。
 今こそ、「stay home」をはじめ、種々の制限下における生活の激変後の状況に基づいた療養方法が提案され、実臨床における指導内容をまさしく実状に則したものへと早急かつ抜本的に見直すべき時と考える。

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