代議員会アンケート 2020年度 診療報酬改定について  PDF

実施日=2020年1月25日
対象者=代議員64+役員17 計81人 回答数=79(回答率98%)

OTC類似薬の保険外しに78%が反対

 改定率と1月10日に公表された「これまでの議論の整理(案)」に示された改定の方向からピックアップして、代議員会出席者に質問した。

改定率、過半数が「ネットでプラスに」

 改定率は本体(技術料)プラス0・55%、薬価・材料価格マイナス1・01%と大臣合意されたが、改定率についてどう考えるか尋ねたところ、「ネットでプラスにすべきだ」が54%、「本体プラスで十分だ」が19%、「ネットでプラスマイナスゼロにすべき」が16%であった(図1)。
 今回も薬価・材料価格の引き下げ分を全て技術料の引き上げに充当させることはできなかった。改定財源について尋ねたところ、「薬価・材料価格引き下げ分は全て本体改定の財源に充当すべき」が65%、「薬価・材料価格引き下げ分を診療報酬本体の財源とするのは難しい」が20%であった(図2)。
 個別の問題についても質問。支払側が提案した花粉症治療薬等のOTC類似薬の保険外しは今回の改定に盛り込まれなかった。このOTC類似薬の保険外しについては「反対」が78%であった(図3)。
 2月7日に中医協が答申したが、診療担当側が強く求めたにもかかわらず初・再診料の引き上げは盛り込まれていない。「初・再診料の引上げを強く求める」が47%、「できれば初・再診料を引き上げてほしい」が35%であった(図4)。
 18年度改定で導入され、凍結されていた妊婦加算が廃止された。妊婦加算の廃止については、「やむを得ない」42%、「賛成」29%、「反対」18%と意見が分かれた(図5)。
 初診料の機能強化加算について、「かかりつけ医」機能や、患者のメリット等の院内掲示、書面による説明を算定要件に加える方向が提案されている。これについては、「反対」61%、「どちらとも言えない」27%、「賛成」8%であった(図6)。
 超音波検査は算定要件の変更や、引き下げがなされた。胸腹部の断層撮影法は次回改定以降、臓器や領域別の体系に算定要件を見直すため、今回の改定では請求時レセプトに臓器または領域を記載することとなった。臓器や領域別の体系に算定要件を見直すことについては、「反対」39%、「どちらとも言えない」22%、「賛成」18%であった(図7)。
 また、断層撮影法のパルスドプラ法加算が廃止される可能性があり、どう考えるか尋ねた(実際は50点の引き下げ)。「反対」49%、「どちらとも言えない」19%、「賛成」14%であった(図8)。
 20年改定に対する自由意見では「従業員雇用が人手不足で難しくなっており、プラス改定が是非必要だ」「時間外加算を引き上げてほしい」「妊婦というだけで診察してもらえないことがある。きちんと診察・診療を行うためにも妊婦加算は必要ではないか」「社会的(就労面等)ハンディを背負う妊産婦の負担を減らすべきだ」「電話再診での診療情報提供料の算定を認めてほしい」(20年改定で一部改善される予定)「超高額の薬剤は別枠の保険で取り扱うべきだ」「告示、通知、Q&Aの発出が遅すぎる」「在宅時医学総合管理料における単一建物居住者数による減算を廃止すべきだ」などの意見が出された。

「政策的誘導」改定に危惧

 診療報酬は患者が受ける医療サービスの質と種類を担保するものであり、引き上げが必要であることは言うまでもない。しかし近年は、患者が受ける医療サービスに直接関係ないと思われる「政策的誘導」に改定財源が使われており問題だ。また途中改定で追加される薬剤や特定保険医療材料の中に非常に高額なものが目立っている。この価格が適正かどうかも注視していく必要がある。
 花粉症治療薬等のOTC類似薬の保険外しも、1月31日の社保審・医療保険部会において支払側委員が再び「医薬品の保険給付範囲の見直し」を求めており、安心はできない。

図1 改定率
図2 改定財源
図3 花粉症治療薬等のOTC類似薬の保険外し
図4 初・再診料の引上げは盛り込まれていないこと
図5 妊婦加算の廃止
図6 院内掲示や書面による説明を算定要件に加える方向
図7 臓器や領域別の体系に算定要件を見直すこと
図8 断層撮影法のパルスドプラ法加算が廃止される可能性

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