★診察室の必需品 切開で重宝するヘッドライト 今井 慎(右京)  PDF

 皮膚科の外来小手術で、一番多く扱うのは粉瘤かと思いますが、従来の切開線をいれて腫瘤を全摘出する方法より、クリニック規模ではくり抜き法(へそ抜き法)で施行することが多く、これは円筒形のメスで3~5㎜程の開窓した穴から内容物を圧出、摘出する方法です。
 くり抜き法では手術の傷痕が小さくてすむメリットがある反面、取り残しがあると炎症や再発するリスクがあるため、皮下に内容物が残存していないか確認する必要もあり、小さな切開創では皮下深部まで光が届かず観察しにくいことがあります。当院でも照明灯の購入を検討していましたが、手術室にある無影灯でも直径4㎜程でくり抜いた創部からでは内部が陰になってしまいます。そこで手元を照らせるヘッドライトのようなものを探していたのですが、医療器具で扱っているものは眼鏡のようなルーペと眉間のあたりにLEDライトがセットになったタイプのものが多く、値段もそれなりするので思案していたところ、たまたま家電量販店で見つけたGentos社から発売されているLEDライトは値段も手ごろでした。本来は野外活動などで使用するヘッドライトなのですが、手元などの近接部分も十分に明るく照らせました。ライトが付いたヘッド部分が可変式なので角度調節とフォーカスコントロールで照射範囲の調節もでき、照明灯がなくても、このヘッドライトで小手術なら十分に術野の範囲を照らすことができます。
 大手通販サイトでは同様の商品が多数、廉価で販売されていたので試しに購入してみましたが、頭に固定するバンドが弱くズレやすかったり、ヘッドの可変部分が緩く固定できないものもありました。このGentos社から販売されているヘッドライトのDELTA PEAKシリーズではさらにモーションセンサーが付いていて、手をかざすだけでライトのスイッチ操作ができるため手が汚れている時や清潔操作中でも手を触れずにスイッチのon/offができるので非常に便利です。

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