医師偏在と難病問題で各府議会議員団と懇談  PDF

共産党 国が自治体に迫る抑制策で意見交換

 協会は、医療法・医師法改正による医師偏在指標を用いた都道府県医師確保計画策定にあたり国政策の問題点を共有し、同時に焦眉の運動課題となっている難病医療費助成制度の改善を訴えるべく、京都府議会の全会派に政策懇談会の開催を申し入れた。これに応え、日本共産党京都府議会議員団と9月5日、府民クラブ京都府議会議員団と11月6日に懇談を開催した。本号は日本共産党京都府議会議員団、次号に府民クラブ京都府議会議員団との懇談内容を掲載する。なお、他会派との懇談は追求中である。

 懇談では①国の進める医師偏在対策に対して危惧すること②難病医療費助成制度をめぐる状況について―の二つを協会から話題提供し、それに基づいて意見を交換した。
 協会は①について国が改正医療法・医師法で導入した医師偏在指標や医師確保計画が、地域に必要な医師を確保するのではなく、国による医師の管理・コントロールに用いられる危惧を指摘した。
 ②では、指定難病患者の重症度分類基準の廃止、「登録者証」制度の創設、「臨床調査個人票」作成費用の公費負担化、すべての難病の指定難病化―の四つの具体的要望を説明した。
 議員団からは、原田完団長、光永敦彦幹事長、山内佳子・馬場紘平議員、桝井事務局長、原次長。協会からは、鈴木理事長、渡邉副理事長、小泉部員と事務局が出席した。

偏在対策は医師管理策との認識共有を

 懇談で府議団は、「京都では医師確保をめぐって今後が懸念された南丹市・美山診療所や北部地域の産科医不足の問題がある。各県でも公的病院の再編・統合が実際に問題となっている。同時に、専攻医シーリングや医師偏在指標の問題があるが、運動を担う側が国のねらい全体を捉えることと、それを住民にもわかってもらう必要について、その難しさを感じる」とコメントがあった。
 これに対し協会は、「医療制度改善の運動の中で、国の医師偏在是正策が本質的には医師管理・コントロール策だということを全国的に共有する必要がある。しかし、医師多数区域とされた地域はまだしも、医師少数区域の住民にとっては、その危険性が見えにくい。医師に多数から少数に移ってもらうのは良いことだとの発想に陥る可能性もある」と応じた。
 府議団は、「医師多数区域といわれても医師が実感として不足している自治体がある。にもかかわらず、なぜ多数と言われたのか。計算式、数字の検証ができず、根拠がわからない。いわば実態や実感とは何の関係もなく国の思うままにされる危険性を感じる」との意見が出された。

難病患者の生活全体支える支援を

 次に難病問題について、協会は具体的事案として、もやもや病の治療・研究を取り上げ、もやもや病は階段状に進む病気であり、良くなったり悪くなったりする。加えて若年者は脳梗塞等の併発症に罹りやすい特徴もある。軽症者登録制度を創設し、重症化したときには遡って医療費助成が受けられるようにする必要がある。
 さらに難病患者への就職・結婚等での差別も起こらないよう、施策を講じる必要があると訴えた。
 府議団からは「臨床調査個人票作成費用も、患者さんの負担が重く問題ではないか」と指摘があった。また、同議員団は協会の陳情を受ける形で難病医療助成問題を質問した。府は国に対して強く要望しているというが、決して前向きな答弁とは言えなかったと評価。「ベースの医療費負担も重く、生活を圧迫している実態がある。軽症者登録制は必要だ」と答えた。さらに「そもそもなぜ難病医療の制度に重症度分類が必要なのか」との意見も出された。
 協会は、こうした福祉制度は病気だけを見るのではなく、生活全体を支えること、子どもたちならば就学支援等の視点も含まれる制度にしていく必要があると求めた。

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