京都市は介護の民間委託撤回を 認定審査委員の意見踏まえ要望  PDF

 京都市は介護認定給付業務等の集約化・民間委託を進めようとしており、その受託候補者を「パーソルテンプスタッフ株式会社を代表とするコンソーシアム」とすることを9月14日に公表した。協会はこの問題に対して、市職員が行うことで担保されている必要なすべての人に必要なサービスを提供する責任が放棄され、専門知識があり経験を積んだ職員が行ってきた機能が低下することに懸念を表明し、白紙撤回を求める談話を公表するなどしてきた。また、地方公務員の処遇が低下する中で、委託によってさらに悪化することも強く懸念している。
 そこで協会は、介護認定審査会委員の医師の方々に緊急アンケートを実施。その結果、委員としてかかわっている医師の6割以上がこの話を「知らない」と答え、半数以上が京都市方針に反対の意思を持っていることがわかった。この結果を踏まえて、10月2日に市の介護ケア推進室に方針の撤回を求める市長宛要望を提出するとともに、市政記者クラブにおいて記者発表を行った。なお、同日の行動は介護保険事業所に同様の調査を行った京都社会保障推進協議会と同行した。同会調査でも7割が「反対」としており、日経(10月12日)が一部を報じた。

62%が知らず、56%が反対

 調査は、京都市から情報公開を受けた介護認定審査委員名簿から、医師委員260人を抽出して9月11日に送付、2週間で81人(回答率31%)から回答が寄せられた。
 市の集約化・委託化方針を「知っている」のは31人(38%)で、50人(62%)の方が「知らない」と回答(図1)。その方針に45人(56%)が「反対」で、「賛成」は7人(9%)に止まった(図2)。反対理由として「業務レベル後退の恐れ」「公正な判定が可能か疑問」「行政が無責任になる」などの不安と懸念が示されている。
 さらに、集約化・委託化で業務に57人(70%)の方が「影響が出る」と答えており、うち81%が審査会業務、70%が認定結果に「影響が出る」と答えている。影響が出ると思う理由は、「民間に任せることで効率化優先となり介護サービス引き下げに拍車がかかる」「経験のない人では審査会議が成り立たない」と心配している。
 そもそも現在の京都市の介護保険認定給付業務については、30人(37%)が「問題あり」とした。「問題」の具体的内容については、「会議体ごとにレベルの差」「件数が多く審査業務が負担になっている」「件数が多いのに、委員を強制的に休ませる」「ビジネスとなっていると感じることはよくあり、透明性・公明性をチェックするようなシステムが必要」などの指摘がされている。
 そして、今後については「京都市が直接行うべき」54人(67%)という声が多数を占めた。「委託でもかまわない」は19人(23%)であったが、「委託するにしても充分な説明責任を果たすべき」という声を京都市は真摯に受け止めるべきであろう。

ページの先頭へ