市民・地域主導で再エネ普及を 保団連近ブロ公害で講演会  PDF

 保団連近畿ブロックの公害環境対策担当者交流会が9月1日、和歌山市にて開催された。各協会の活動交流を行った後、「市民・地域主導で再生可能エネルギー普及を推進しよう~世界の最新動向を踏まえつつ日本の今後を考える~」と題した市民公開講演会を開催。講師は、和歌山大学客員教授で元日本環境学会会長の和田武氏。

 和田氏は、まず地球温暖化の問題にふれ、産業革命以降の200年で気温が1度上昇していることを解説。地球の歴史で測るとグラフが直角になるくらいの急激な温度上昇と解説した。すでに地球上では多くの異常気象が現れている。21世紀中の気温上昇はこのままでいくと4・8度と言われているが、1・5度未満に抑えないと地球の生態系、環境に与える影響は壊滅的だと述べた。
 和田氏は地球温暖化防止のため、欧州では再生可能エネルギーを先進的に取り入れていることを説明し、ドイツやデンマークでの実施状況を例示。再エネ導入の計画段階から、その地域の市民の参加が普及にかかせないとし、デンマークでは電力の約43%を供給する風力発電設備の約80%が地域住民の所有であること。バイオマスや太陽熱・地中熱などの利用が多い地域暖房を運営する企業のすべてが地域住民または自治体の所有・経営であることを解説した。ドイツでも、再エネ発電設備の約46%が市民・協同組合・市民出資による所有・経営の体制を整えている。このため、現在日本各地で起きているような反対運動が起きにくく、住民主体であることから利益が地域に還元されやすい体制だとした。また、各国の再エネ導入のための政策もさることながら、再エネを導入することで新たな産業、雇用も生まれ、地域経済に寄与していることに言及。実際に過疎化していた村が活性化した様子を紹介し、再エネ後進国の日本との違いを明確に示した。
 日本は発電規模ごとの買取価格制度がないため、規模が大きければ大きいほどもうかるシステムとなっている。利益追求で大手企業がどんどん参入しているとし、発電場所となる地域の環境破壊や健康被害などから住民の反対運動につながってしまうと解説。欧州のように市民主体での共同発電システムで、小規模分散型にしないと上手くいかないのは当たり前だと断じた。
 一方で、日本の再エネ保護政策が貧弱ではあるものの、市民が主体となった小規模発電所が次々と生まれていることを紹介。バイオマス発電や地熱発電など、潜在能力の高い日本で再エネに舵を切ることは、地域活性化にもつながることだとし、原発を中心にすえた政策・政治を変えるために市民が意識的に動くことが重要だと述べた。

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