天道是邪非邪 小泉 昭夫(中京西部) 環境汚染編9  PDF

沖縄の基地におけるPFOS汚染
本質は米軍による環境権の侵害

 沖縄における基地周辺の環境汚染では、ダイオキシン問題をはじめ多くの環境汚染問題がある。赤嶺政賢議員(日本共産党)は、2016年4月11日に国会にて質問主意書を提出し、嘉手納基地周辺のPFOS汚染問題を質問している。14年から15年にかけて浄水のPFOS濃度が、他の府県の濃度に比べて極めて高い80 ng/L以上の濃度で汚染していたというものだ。
 このような指摘を受け、沖縄県環境部環境保全課は、全県に調査範囲を広げて普天間基地でも新たに17年度に調査を行った。その結果、18年8月から9月に採取した夏季の水質調査で、普天間飛行場周辺の湧水や地下水において、米国環境保護庁が設定した飲料水に関する生涯健康勧告値(PFOS+PFOAで70 ng/L)を超えた値を検出。その地点が7カ所確認された。
 背景として重要な点は、PFOS、PFOAともに、19年度にはPOPs条約に登録され、我が国では両物質とも化審法の規制を受けるようになった(表)。その結果、我が国の国内法では、早急に汚染除去などの対応が要求される事態になってきた。米軍は、このような日本の法的規制に対して、治外法権の立場をとり沖縄基地での調査を拒み、沖縄県民の怒りと顰蹙を買っている。
 PFOSおよびPFOAはともに、航空機燃料に対する泡消火剤として使用され、訓練などで環境中に放出されたと考えられる。19年現在では、泡消火剤の中に成分として含むものは製造されていないが、過去の消火剤や、土壌汚染があるものと思われる。また、この基地汚染は、報道のように横田基地でも発生していた可能性は高く、沖縄だけの問題ではない(図)。この初期の横田基地のPFOS汚染は、我々が初めて報告したものであり、そのため記事に引用されている。
 このように、全国の米軍空軍基地では、航空機燃料に対する消火剤を備蓄しており、恐らく基地周辺での環境汚染は起きていると考えられる。PFOSおよびPFOAの長期毒性は、議論のあるところであり、現在のところ疫学調査では、母体曝露により新生児の低体重と低身長のリスクが増加すると報告されている。ただこの影響は、出生時に一時的に認められるものであり可逆的と考えられている。しかし、もともとPOPs条約は、健康影響をもとに決めたものではない。環境での残留性が高いことから決めたものであり、この点は将来に対するリスクを回避するために重要である。
 また、もう一点、重要な点。我が国は、PFOA+PFOSに対して飲料水の基準を持たない。先進国では異例の国である。環境省、厚生労働省、内閣府も米国に忖度しているのか、面倒を避ける行政の弱腰かどちらかに違いない。…天の声、「過激やなー!」。

表 ストックホルム条約対象物質 2019年3月現在 経済産業省ホームページより

文書 摘要 物質
付属文書A 廃絶 アルドリン、クロルデン、ディルドリン、エンドスルファン、リンデン、マイレックスなどシロアリ駆除や農薬およびPCB、短鎖塩素化パラフィン(SCCP)、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及びPFOA関連物質など28種類
付属文書B 制限 DDT、ペルフルロオクタンスルホン酸(PFOS)とその塩、ペルフルオロオクタンスルホニルフオリド(PFOSF)(PFOSについては半導体用途や写真フィルム用途等における製造・使用等の禁止の除外を規定)
付属文書C 非意図的生成物 ヘキサクロルベンゼンなど7種類
2018年の段階で検討中のもの ジコホール、ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)とその塩及びPFHxS関連物質

図 沖縄タイムスの記事(2018年12月10日)

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