保険請求留意点を詳細に解説  PDF

 保険医協会は京都府眼科医会との共催で眼科診療内容向上会を4月13日、京都タワーホテルにて開催した。参加は88人。最初に協会の茨木和博理事長代行のあいさつがあり、続いて京都府眼科医会保険医療委員会の松本康宏委員長から保険診療上の留意点の解説があった。

眼科診療内容向上会レポート

 以下に松本委員長の説明内容を示す。
 最近3年間で再審査件数が3倍に増加した。以前なら見過ごされていた小さな問題でも、保険者は漏らさず指摘していることを示すものであり、医療機関も本気で対応する必要がある。また過去には何の注記・詳記がなくてもよかったレセプトでも、今はその必要性を保険者に納得してもらわなければ支払ってもらえないという事例がいくつもある。返戻に対して、「以前はこれで通っていた」という文言をレセプトに書いて送り返してくる医療機関があるが、このような表現は不適切である。今は昔とは異なることを認識しなければならない。近年精密なコンピューターチェックにより、グレーゾーンのレセプトが洗い出されて再審査請求が数多くなされている。また過去には6カ月を超えての再審査請求は行わないという紳士協定のようなものが存在したようだが、現在、慢性疾患での初診料に関する再審査は1年近い間隔でも行われ、CL検査料に関しては5年前まで遡ってチェックされている。請求には十分な注意を払う必要がある。
 現在、慢性疾患の同一傷病名でも3カ月以上の未受診期間があれば、初診料算定を一次審査では査定していないが、再々審査請求があれば、医療機関に初診料算定理由の症状詳記を求めることになる。その場合、明らかに同一疾病でないこと(患者が自主判断で診療を中止・終了し、一定期間の後、異なる症状や病態で受診したものであること )を、保険者に論理的に説明しなければならない。不用意な詳記をしてはいけない。
 初診・再診にかかわらず、屈折病名のみで若年者に精密眼圧を算定してはならない。査定の対象になる。
 屈折病名なしでCL検査料は原則的には算定できない。査定の後、CL検査料は削られ、初・再診料のみとなる。
 眼処置を算定した場合には、その内容(眼帯、罨法)を必ず注記すること。注記がなければ査定となる。
 結膜下出血に消炎剤の点眼薬は算定できない。必要な場合には、該当病名を記載するべし。
 病名漏れはほぼ全て査定となり、その後の再審査請求でも復活は困難である。
(西陣・辻 俊明)

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