医界寸評  PDF

 用いられたのが実弾と知って事態の深刻さに改めて慄いた。国内各地で起きた大規模な停電が被害を大きくしたと言う。南米大陸北部カリブ海に面するベネズエラで起きた2月の悲劇▼30度近い気温の国である。透析は言うに及ばず冷蔵庫がなければ中につめられた食料品は腐ってしまい、現地のNGOの報道によれば死者は40人以上と言う。飲料水の入手も難しく、住民たちは暗渠の壁から浸みだす未消毒の水を飲んでおり、感染症の発生も懸念される▼ここでまたアメリカが危険な役割を両手に捧げて登場する。報道が錯綜する中で、ポンペオ米国務長官は3月11日ベネズエラ駐在員の撤収完了を発表。二人の大統領が競い合っている政情の内実を示し、そのうちの一人は正当性に問題ありと発信。ベネズエラ国営の金開発企業とその社長を制裁対象にすると発表。米国内の資産が凍結され、米国人との取引が原則禁じられる▼元来、豊かな石油資源に恵まれたベネズエラでは医療の公費負担を増やす政策をとっている。同国では、停電の同時多発テロに対して「米国によるサイバー攻撃」と繰り返し、検察当局は暫定政府の大統領宣言をした国会議長が停電に関与したとして捜査を進めている。中南米の豊かな資源を背景に起きた火種が相手方への銃剣にまで発展し交戦権にまで発達する土地柄に火の気は禁物。(光)

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