孤独な開業医に寄り添う 保険医協会でありたい  PDF

 保険医協会は、その成り立ちより開業医の会員比率が伝統的に高く、現在も全会員数のうち、ほぼ9割を開業医が占めている。かく言う私も含めて、病院勤務等の修練を経た上で開業に至るケースが大多数であろうと推察するが、さらにそのほとんどが一人開業であることも周知のとおりである。今更ながらの内容をあえて述べるのは、最近実感したいくつかの現実に基づくものである。
 その一点目であるが、昨今の閉院数の推移の事実である。昨年1年間の閉院等による開業医会員の退会数は19人、さらに今年に入ってからは2月6人、3月9人と少なくない。その理由のほとんどが、死亡、高齢、病気等、やむを得ない状況とはいえ、長年にわたって地域に密着した医療を実践してこられた実績を考えると、まことに惜しまれるところである。
 ごく最近になってようやく医院継承の話題が取り沙汰されるようになってきたが、閉院の決断はまさしく忸怩たる思いであったと推察され、一人開業の「悲哀」を思うと、継承をテーマにした取り組みをもっと充実させても良いのではなかろうか。今後の取り組みの課題と考える。
 さらにもう一点の事実として、ごく最近直面した医療安全の事例について述べたい。すなわち、患者の急変に対応できなかったためにクレームを受けてるというある医院開業の医師からの相談である。詳しい経緯は省略するが、家族からの激しい申し入れに対して呆然としてどう対処して良いか見当もつかず、悩むだけの毎日を過ごしていた由。その後、時間経過とともに協会の医師賠償責任保険に加入していたことを想起され、ご相談の運びとなった。まさしくこの事例も、孤独な開業医の悲哀そのものと言えるのではないだろうか。
 何度も本紙で呼びかけているところではあるが、開業医・勤務医にかかわらず会員各位において、何かお困りになった時点でとりあえず当協会へご相談いただいてはいかがであろうか。もちろん全てを解決すると安請け合いはしないが、もてる総力で会員に寄り添うことはお約束したい。

ページの先頭へ