初再診料引上げ求め厚労省と懇談 アンケート調査で会員意見を集約  PDF

協会は3月19日、参議院会館にて厚生労働省保険局医療課と懇談し、根本厚生労働大臣宛「初・再診料の引上げを求める要請書」および「内服薬の一包化の評価および注射薬の処方料、処方箋料の新設を求める要請書」を提出した。協会から鈴木卓副理事長と事務局1人が要請内容について改善を訴えた。厚生労働省は保険局医療課の佐々木主査が対応した。なお、懇談にあたって日本共産党参議院議員(参院厚生労働委員会委員)の倉林明子議員に調整をお願いした。
「初・再診料の引上げを求める要請」では、協会の代議員アンケート(本紙第3034号既報)の結果を紹介。初診料は平均値でプラス169点(中央値でプラス70点)、再診料は平均値でプラス59点(中央値でプラス30点)、外来診療料は平均値でプラス40点(中央値でプラス20点)を要望するとの結果であった。これを踏まえて、次回改定において初診料、再診料、外来診療料を大幅に引き上げることを求めた。
次に、「内服薬の一包化の評価および注射薬の処方料、処方箋料の新設を求める要請」では、当協会が18年12月に実施した全会員アンケートの結果を紹介。この内容を踏まえて、次回改定において、①分包機を設置し、医師、薬剤師が内服薬を一包化した場合の技術料として、調剤報酬と同点数を新設すること②注射薬剤の処方料(42点)、処方箋料(68点)を新設すること―を求めた。
(関連2面)

中医協会長、全委員にも送付

提出した要請書は同日、厚生日比谷クラブ加盟各社にも配布。また、翌20日には内閣総理大臣、財務大臣、厚生労働副大臣、厚生労働大臣政務官、衆参厚生労働委員会委員、京都選出衆参国会議員、中医協会長、中医協委員に送付して改善を要請した。
なお、18年12月に実施した全会員アンケートの結果は、「グリーンペーパー」4月号に掲載する。

初・再診料で基本的な底上げを

初・再診料の引上げを求める要請について厚労省は、「現場で診療している医師、地域で頑張っている医師の真摯な意見として、しっかり受け止めたい。医療経済実態調査結果を見ながら総体として評価している。方向としては、18年改定で機能強化加算が新設されたが、かかりつけ医機能等の体制を有する医療機関を評価していくことになる。患者が医療費を一部負担しても納得できるものを評価していくことが必要と考えている。ただし現状として、かかりつけ医が一人で24時間診療するのは無理があり、どうやって地域で患者を支えるのか、連携を組んでいくのかが問題となっている」と回答した。
これに対して協会は「医療機関を差別化して評価するのではなく、基本的な底上げが求められている」と要請の趣旨について理解を求めた。
また、協会から「当協会の調査では、医療機関の7割以上が外来に看護師を配置している。これを別に評価できないか」と要請した。これに対して厚労省は「簡単な診療を除くと、基本診療料とは別に医学管理等、注射、処置、手術等を併せて算定しており、ここが看護の人件費であると示すことが難しい。点数表総体として評価しているとしか言えない」と回答した。
協会は、「以前、中医協で基本診療料に係るコスト調査・分析に着手したことがあった。賃貸料金にばらつきがあり外来診療については調査できなかったようだが、これを除いて再度中医協で基本診療料について議論してほしい」と訴えたが、厚労省は「外来の基本診療料は体制評価による加算で評価してきている。一律に引き上げることは難しい」と回答するに止まった。

調剤での評価と処方での新点数新設求める

内服薬の一包化の評価および注射薬の処方料、処方箋料の新設を求める要請について、厚労省は「多くの診療所で分包機を持っていることに驚いた。近くに薬局がないということか」と述べたため、協会は「京都府北部など薬局が不足している地域では分包機は必需品だ。一方、調剤報酬が高額なこともあり、院外処方を行わない保険医もいる」ことを紹介した。
加えて「医科点数表の調剤料、調剤技術基本料と調剤報酬の差があまりに大き過ぎる。地域包括診療加算のように院内投薬を再評価したような点数が創設され、また昨年12月の厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会が発表した『医薬分業に関するとりまとめ』では『この際院内調剤の評価を見直し、院内処方へ一定の回帰を考えるべきであるという指摘があった』とある。7種類以上の内服薬を処方した場合の減額の問題も含め、医師が行う処方、調剤に対する評価を引き上げてもらいたい」と要請した。
これに対して厚労省は「医療機関内の薬剤師と調剤薬局の薬剤師の役割の評価は異なる。ただし、院内の医療に対する薬剤師の関与をどう評価するのか、地域に薬局がない場合に診療所の医師の調剤や服薬管理をどう評価するのか、ということは必要なのかなと思う」と回答した。これ対して協会は「『医薬分業に関するとりまとめ』に応じて、中医協で院内処方の評価を是非見直してもらいたい。薬剤師を雇えるくらいの評価が必要だ」と要請したが、厚労省は「まとめに関しては承知している。医科点数表と調剤報酬には報酬設定以前に医薬分業推進と言った方針や、薬機法上の考え方、調剤薬局の政策等があり、診療報酬で一気にやるという訳ではない。医療機関内の薬剤師の評価については色々なご意見もあり、病棟薬剤業務実施加算等でも評価してきている。アンケート結果については、しっかり検討させてもらいたい。まとめに関しては中医協で議論する際の一つの材料にはなる」と回答した。
次に、注射の処方技術に対する評価について、厚労省は「今まで必要だという意見を聞いたことがなかった。注射の処方箋発行に関する技術は、在宅療養指導管理料に含まれていると考えられる」と述べたため、協会は「そうだとしても、外来の注射処方に関する評価がないのは事実。療担規則でも『注射によらなければ治療の効果を期待することが困難であるとき』等の条件を踏まえて判断することを求められており、評価がないのはおかしい」と説明した。これを踏まえ厚労省は「過去の経緯を調べたい。要請の趣旨は承った」と回答した。

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