福知山・綾部医師会と懇談 11月10日 福知山医師会館  PDF

偏在問題には地域の再生こそ必要

 協会は11月10日、綾部・福知山医師会との懇談会を開催した。地区から19人、協会から5人が出席し、福知山医師会の古村俊人理事の司会で開会。冒頭、同会の井土昇会長より、厳しい医療情勢の中、この懇談会で忌憚なく意見を交わしたいとあいさつの後、協会の内田副理事長よりあいさつ。続いて各部会からの情報提供、テーマである「国が目指す地域医療提供体制と開業規制」「診療報酬不合理是正」について説明し、意見交換した。
 意見交換では、新専門医制度や開業規制問題が話題となり、地区から「医療法・医師法改定法は我々が内容に気づかないまま可決されてしまった。専門医機構や学会が厚労大臣の意見を聞かなくてはならないとされ、学会の独立性が脅かされ、国の施策を受け入れざるを得なくなることに危機感を感じる」との意見に対して、協会より「医師は高度な専門職として自立して自ら律しながら活動し、社会に貢献していくもの。しかし新専門医制度はいつのまにか政府に直結してしまっている。一方で、総合診療専門医の専攻医は京都府でわずか3人で、地域医療や在宅医療を担えるはずがない。そもそも総合診療専門医に地域のかかりつけ医像を押しつけることが問題で、これまで地域医療を担ってきた開業医を評価すべきだ」と述べた。
 また、地区より「協会が医師の絶対数の確保を求めると提言していることは大賛成だ。しかし、医師偏在問題について、偏在を指数で見える形にするのは大事ではないか」との意見に対し、協会は「偏在指標については、根拠となる需給推計資料は古く、働き方改革を踏まえた新資料で算定すべきだ。例えば偏在指数ではなく不足指数も出して組み合わせるべきではないか等、厚労省に意見を出していくべきだ」と述べた。
 さらに、地区より「トップダウンで医師偏在を改めるのではなく、我々の側から取り組むべきで、地域での労働や報酬などで喜びを感じる方策を講じるべきだ。地方でも若い医師がスキルアップできる研修の場を確保することも大事だ」との意見に対し、協会より「地区から『住み慣れた故郷ではなく新しい故郷を作っていかないと立ちいかなくなる』との言葉をいただいている。その観点での施策が必要で、出された意見を具現化することが大事だと思う」と述べた。
 懇談では向精神薬の長期継続処方減算の問題や協会の医療安全研修会・医療安全担当者スクールの活用についても話が及んだ。懇談会の最後に綾部医師会の米谷博夫会長より、懇談会での意見交換を活かして諸活動に取り組んでいきたいとあいさつし、閉会した。

ページの先頭へ