長崎で反核医師のつどい 被爆地から核廃絶を訴え  PDF

 第29回反核医師のつどいin長崎が11月3、4の両日、「核兵器禁止条約の発効で長崎を戦争による最後の被爆地に」をテーマに長崎原爆資料館で開かれた。つどいには、田上富久長崎市長、森崎正幸長崎県医師会長が連帯のあいさつに立ち、語り部による被爆体験の話から未来に向けた高校生平和大使の活動など、被爆地長崎の歴史と運動の厚みを感じさせる会合となった。宇都宮久清氏の参加記を掲載する。

長崎の高校生の活動に力を得る

 高校生の平和大使の、NHKアナウンサーかと思える、堂々とした発表、これには、皆びっくりしていた。被爆者・田中重光氏の沢山の人脈から広がる話。長崎県保険医協会会長・本田孝也氏の、黒い雨と脱毛の関係。コロンボ警部並みの推理行動力。鬼気迫る大団円。以下は、ティルマン・ラフ氏(IPPNW共同代表/ICAN共同設立者)、中村桂子氏(長崎大学核兵器廃絶研究センター准教授)、お二人の話を私が勝手にまとめたもの。

新しいエビデンス(核の非人道性)
=ラフ氏

 新しいエビデンス(核の非人道性)が確認された=小さな核爆発でも、雲、放射能が全世界へ広がり、気候変動(1度から5度下がる)での農作物減少、紫外線の影響で、目、皮膚への影響、海産物の減少(水温低下)で、20億人が飢餓状態になる。
 大きな核爆発なら、10度の気温低下で、氷河期になる。核兵器は抑止兵器というより、自殺兵器である。米国はINF(中距離核兵器廃絶)から脱退し、核開発を推進しており、核使用の危険は増えてきている。
 地雷、化学兵器は禁止条約ができるなか、核を持たない国に何ができるか、模索が続いた。徐々に、各会議の中で、核の非人道性という、エビデンスが力をつけていった。多くの金融機関が核関連企業への融資を停止した。メルボルン大学はロッキードからの金を拒否した。そして、日本のような核依存国は、核問題を悪化させる。

北東アジアを非核兵器地帯に=中村氏

 核兵器禁止条約が採択された瞬間、大きな拍手が沸き上がり、興奮状態になった。南ア代表は、この条約に賛成しないのは、広島・長崎の被爆者の頬を打つのと同じだと発言した。
 日本政府は、核の被害者という側面と、核依存国という側面を、両立できるとしてきた。禁止条約には棄権を貫いてきたが、核兵器が無くなるかもしれないという現状では反対へと舵を切った。「核同盟国」という本質を、あらわにした姿だった。
 日本は国連で独自に〈核廃絶への共同行動〉という提案をして、多くの賛同を得ていた。しかし、最近、この提案は、姿勢が保有国側に寄っているとして、多くの国が参加をやめてしまった。日本政府の本質=核兵器賛成が、見透かされてしまった。
 核抑止は意味がないと、はっきり打ち出せれば、ノーベル平和賞に値する。私たちの目標は、経済的な自立を進める中で、非核地帯を大きくする運動。南米では、対立する国が、非核地帯としてまとまっていった。望みはある。
(下京西部・宇都宮 久清)

ページの先頭へ