社保研レポート 不眠などの診断基準から治療導入まで現代人の睡眠事情も紹介  PDF

第663回社会保険研究会
不眠症治療の実際~睡眠と生活習慣病およびメンタルヘルスとの関連~
滋賀医科大学睡眠行動医学講座特任教授 滋賀医科大学附属病院睡眠センター長 角谷 寛 氏

 協会は、社会保険研究会を10月13日に開催した。今回は、ベンゾジアゼピン受容体作動薬を1年以上連続して同一成分を1日当たり同一用量で処方した場合、処方料・処方箋料が減算されるとの取扱いから除外されるための研修としての位置づけであった。不眠症治療の実際、睡眠と生活習慣病およびメンタルヘルスとの関連をテーマに、滋賀医科大学睡眠行動医学講座特任教授で、同大学附属病院睡眠センター長の角谷寛氏が講演した。定員を超える74人が出席、質疑応答も活発に行われた。
 角谷氏は、はじめに、脳波で精密に調べると加齢とともに眠ることのできる時間が短縮する、眠気にもリズムがあり、年齢で睡眠の構造が変化する、現代人の睡眠の問題や睡眠時無呼吸症候群の診断から治療導入までを解説した。
 不眠症の診断基準では「熟眠感の欠如、睡眠の質の悪さ」は、含まれない。不眠の背景にあるうつを抱え込まないために、不眠の質問票は、うつのスクリーニングにも有用で、うつを切り分け、精神科に紹介するのに活用できるとした。不眠があると不安障害の可能性もあるとのことであった。
 現状の不眠治療と課題では、過量服薬(医薬品過剰摂取)による急性中毒について、日本のみならず世界的にも公衆衛生上の重要な課題となっている。救急医療体制への負担が大きい。入院日数が短いなど良好な経過をたどる一方で、三次救急医療機関への搬送割合が高いことが上げられた。
 滋賀医大での不眠診療の流れを解説するとともに最後に、不眠症治療は、昼間の機能低下(眠気など)があるときに治療対象となる。まずは、非薬物治療(睡眠衛生指導)をと述べ、また、ベンゾジアゼピン系睡眠薬はリスクがあり、特に高齢者には推奨されない。投与する際は、休薬を視野に入れることとまとめた。
 当日の模様は協会ホームページにて動画配信および当日配布資料の掲載を予定している。ご参加いただけなかった方は是非ご覧いただきたい。

ページの先頭へ