医界寸評  PDF

 今年もインフルエンザワクチン接種が始まった。昨年は供給が滞って混乱をきたしたが、今年は順調に滑り出したようである▼最近インフルエンザ以外にも、いつも何かのワクチンが不足してるという話を卸から聞かされている気がする。不安をあおり過ぎるマスコミもいかがなものかとは思うが、国民の健康に直結するワクチンの供給には国策として関与してほしいものだ▼昨年はインフルエンザの供給不足に対して、シーズン終了後にワクチンの返品の多い医療機関を発表するというペナルティーを科す通達があった。在庫に適正な余裕がないと接種はスムーズに行かない。医療機関の在庫をゼロに近づけるためには卸が大量に在庫を抱えることになり、状況はあまり変わらないのではないか。メーカーはシーズン終わりに返品、廃棄となる薬品を最小にする努力をするものと思う。余剰の薬品が足りないとシーズン中のワクチン供給がうまくいかないのは当然ではないか。政府は、ワクチン行政にもいわゆる市場原理主義を導入すれば、うまくいくと考えているのだろうか▼経済活動では市場の自主性を尊重する「新自由主義」にも合理性があることは理解するが、医療福祉分野には相容れない面が多いのではないか。政府が積極的に関与することでワクチンなどの突発的に必要となる薬剤の安定供給に努めてほしい。(内)

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