新年度にあたって 医療安全対策部会  PDF

京都の医療安全は協会から
医事紛争の2017年度状況を踏まえて
副理事長 林 一資

 2017年度(17年6月~18年5月)医事紛争の主な特徴を挙げると、次のようになる。
 事故報告件数は前年度と変わらず41件。ここ数年は年度ごとに増減を繰り返し(グラフで表現するとジグザク状態)、17年度も前年度同様といえども決して少なくない件数ではあったが、医事紛争が増加傾向にあるとは一概に断定できないだろう。事故報告数の病診比率はおおよそ2対3で、37年ぶりに診療所が病院を上回った。全事故報告中、過去最高の97・5%がすでに解決しており、依然として解決率は高水準を保っている。紛争報告を複数回される会員医療機関が若干減少した。
 医療安全に限っていえば、2000年代後半からいわれていた医療崩壊は一応の終結を迎えたと判断してよいだろうが、最近の医療事故の報道も産婦人科領域をはじめショッキングなものが散見される。マスコミの報道が医事紛争の件数に大きな影響を与えていることは、先の医療崩壊時にすでに言われていることである。協会は過去45年分の統計データから、17年度ごろに紛争の急増が起こる可能性を示唆してきたが、この予測が幸いにして外れた。しかし、これに満足せず日々の対策は必要不可欠だと考える。
 協会は半世紀以上も医療安全に取り組んできた、全国的にも稀にみる医療団体である。先に述べたように実績も確かなものがあると自負している。予防対策では、医療安全担当者向けの研修会(医療安全スクール)を希望に沿い、個別に開催している。日々の相談も随時受け付けており、また、保険医新聞やホームページ等を介して少しでも、医療機関における日々の医療安全対策に役立てていただければと思う。

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