シリーズ 施設基準適時調査対策のポイント 3  PDF

適時調査結果と返還金

 適時調査の結果、文書指摘が必要とされた場合は「指摘事項」が、返還を求められた場合は「返還事項」が、それぞれ結果通知に記載される。施設基準の要件を満たしていないと判定された場合は、併せて届出の変更や辞退が求められる。
 「指摘事項」は、届出・運用の内容に適正を欠く部分が認められるものの、施設基準の維持には問題ないが、改善が必要なものとされている。「指摘事項」については、改善報告書の提出が求められ、提出期限は、調査結果通知後1カ月とされている。改善報告書は「指摘事項」の各項目に対して、病院での改善内容を返答する形式で作成するとよい。
 「返還事項」は届出・運用の内容に適正を欠く部分があり、施設基準を満たしていないと判断されたもの。診療報酬の返還は、前回の適時調査以降が対象とされ、施設基準を満たさなくなった日の属する月の翌月から現時点までの期間とされている。返還は、返還金関係書類を作成し行うが、病院の場合、書類の提出期限は結果通知後2カ月とされている。返還金は、支払基金等を通じて、今後支払われる診療報酬から返還する場合と、直接保険者に返還する場合とがある。
 また適時調査で、虚偽の届出や届出内容と実態が相違し、不当または不正が疑われるとされた場合には、調査を中断または中止し個別指導または監査対象とされることになっている。個別指導や監査の「返還事項」は届出・運用の内容に適正を欠く部分があり、施設基準を満たしていないと判断されたもの。対象となったことについては、適時調査結果通知には記載されない。
 適時調査により個別指導や監査の対象になることは決して多くはないが、返還している病院は意外と多い。2016年度の返還金額は、前年度よりは減少したものの、全国で43億5931万円に上っている。施設基準等は非常に複雑ではあるが、適時調査により返還を生じさせることがないよう、きちんと対策しておくことが重要である。

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