ケア保障のためのソーシャルワークの再構築  PDF

 末永氏は、自身の首都圏におけるケアマネジャーとしての実践を通じ「『見守り』という名の社会的ネグレクトから真のソーシャルワーク」の実現を訴えた。
 自助・互助が強調され、愛知県大府市で列車にはねられて死亡した91歳の認知症男性にJR東海から約720万円の賠償が求められた。あるいは精神障害のある方の監禁事件、その末の死亡事件が相次いだりもしている。いずれのケースも医療・福祉がかかわっていなかったわけではないことが特徴である。家族がいれば家族の責任が問われてしまう社会の実情が招いたのではないかと指摘した。
 自治体のソーシャルワーク機能が低下し、高齢者が自宅に住み続ける権利すら侵害されていること。入院期間の短縮が社会的入院を生み出していること、ケアマネジャーは「自助」「互助」を妨げないよう「安易に介護サービスを提供しない」ことを研修で教育されている実態がある。現場の劣化を直視し、克服する取組が必要だと強調した。

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