官製の自立か、私たちの自立か?  PDF

 記念講演で岡﨑氏は、介護保険制度改善だけでなく、医療から住宅保障までを視野に社会保障としての高齢者ケア実現を目指す視点の重要性を強調。そのための争点として浮上しているのが「自立」だと指摘した。介護保険制度は介護サービスの量・種類の拡大をもたらし、地域包括支援センター等、相談機関の拡大をもたらした。しかし今日、行政サイドから語られなくなった言葉に制度創設時には語られていた介護の社会化がある。
 介護の社会化には、三つの方向性がある。「共同化としての社会化」「公共性としての社会化」そして、介護保険が該当するのが「商品化としての社会化」である。
 介護保険制度は、医療保険であれば医師の専門性に応じて現物給付されることで達成される「必要充足」原則とは相いれない、個人契約・現金給付システムである。また不可分なはずの身体と生活援助にケアを分断し、専門性が担保されていない等、さまざまな問題を内在させている。これらを改革する視点として、制度構造・運営や改革過程の民主化・分権化、社会保障・社会福祉としての理念の再生、人権・生活に立脚した社会保障としてのケア保障・高齢者福祉の再生が必要である。しかし現実には制度改革の度にケア保障から逸脱しており、その背景に国の成長戦略の推進を目指す構造改革があり、その転換が求められる。
 問われているのは「官製の自立」か、「私たちの自立」かの争点であり、介護保険制度改定を含めたケア保障政策の実現であり、「住み続けられる地域づくり」と「生活者におけるケアの統合を中心においた重層的な地域ケアシステム」の実現であると強く訴えた。(2面に続く)

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