2018 診療報酬改定こうみる 2  PDF

病床機能分化と医療費削減を
強力に推し進める改定

入院 副理事長 渡邉 賢治

 今回の入院における診療報酬改定の特徴は、「地域医療構想」における病床機能の分化と、削減を強力に推し進める内容となっていることだ。①「急性期医療」を担う病床として、7対1、10対1入院基本料を急性期一般入院料とし7段階に、②「急性期~長期療養」を担う病床として、13対1、15対1入院基本料を地域一般入院料とし3段階に、地域包括ケア病棟入院基本料を4区分に、回復期リハビリテーション病棟を6区分に、③「長期療養」を担う病棟として療養病床を20対1療養病棟入院料を2段階に、そして経過措置病棟を2段階に再編・統合した。
 急性期病床での大きな見直しは、「重症度、医療・看護必要度」の基準の見直しである。A項目およびC項目に対応する請求区分に診療実績データを用いて、B項目と合わせて該当患者割合を判定する新基準「Ⅱ」が導入された。また、データ提出加算が急性期一般入院料(200床未満)、療養病棟入院基本料(200床以上)、回復期リハビリ病棟(200床未満の5、6を除く)で新たに施設基準の要件となった。
 急性期一般入院基本料では、今回の重症度、医療・看護必要度評価の引き上げと診療実績導入、入院料2、3の新設は、7対1から10対1への移行を強く促すものとなった。
 回復期リハビリテーション病棟では、リハビリテーションの実績指数(アウトカム評価)が施設基準に組み込まれた。このことは、在棟日数の短縮がアウトカム評価の数値を上げることに大きく影響するため、早期に退院させ通院でリハビリを行った方が点数的には高くなる。病院の経営のみを考えると、回復が早期に見込まれる患者を多く受け入れることになりかねない。リハビリを必要とする患者に、必要なリハビリが提供されない。そんな事態にもなりかねない。今回の改定で、療養病棟入院基本料の「褥瘡対策加算」にもアウトカム評価が導入された。今後、アウトカム評価が広く導入されないように注視が必要であり、現在あるアウトカム評価を撤廃し、患者の個体性や病態の個別性を十分考慮した医療を適切に提供できる診療報酬体系にしなければならないと考える。
 最後に有床診療所では、地域医療を担う有床診療所を「地域包括ケアモデル」、専門医療を担う有床診療所を「専門医療提供モデル」と位置付けた。今回の改定では「地域包括ケアモデル」として、介護サービスを提供する有床診療所を1~3に介護連携加算を新設した。しかし、加算の新設、引き上げ、算定要件の緩和はされたが、まだまだ入院基本料は低く、今後大幅に引き上げるよう要請していく必要がある。

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