2018 診療報酬改定こうみる1  PDF

 本紙より7回にわたって2018年度診療報酬改定の分析・評価を、入院外(全体)、入院・有床診、在宅医療・内科、外科・整形外科、小児科・産婦人科、眼科・耳鼻咽喉科、皮膚科・精神科の項目で掲載する。

地域包括ケアの最終段階へ
全体・入院外 副理事長 鈴木 卓

特徴

 今回の改定は、2012年から始まった地域包括ケアシステム構築の最終段階(介護報酬改定と併せ)との位置付けが、強く意識された内容となった。病床機能分化の診療報酬での強力な推進(多段階化)、“かかりつけ医”機能の評価、在宅や介護への移行促進がその大きな特徴となった。
 全体の改定率はネットマイナス1・19%、本体プラス0・55%とされた。当初の財務省腹案ネット2・5%以上引き下げの阻止は保険医運動の成果である。しかし、本体プラスとなったものの医療機関が医療提供体制を安定させ、医療水準を維持する評価としては不十分である。以下改定の内容の一部を、本稿では入院外医療で見ていく。

かかりつけ医機能の強化

 外来医療で最も重要な改定は「初診料/小児かかりつけ診療料・機能強化加算」新設である。これは地域包括診療加算(同診療料)や小児かかりつけ診療料等を届け出・算定している医療機関に限り、初診患者に加算が付けられるもので、厚労省はこれらの届け出をしている医療機関が“かかりつけ医”であると事実上定義したことになる。普及のための要件緩和や増点数も図られた。しかしこれらの届け出をせずに地域医療に貢献をしている診療所は多数存在し、加算の有無が院所間差別化をもたらす恐れがある。算定医療機関には新たに『抗微生物薬適正使用手引き』を参考に抗菌薬の適正使用に関する普及啓発の取り組みが要件化された。抗菌薬不使用に対する評価については小児科外来診療料等に「小児科抗菌薬適正使用支援加算(初診)」も新設された。ただし、『手引き』の注釈には急性上気道感染症等の“…実際の診療では…医師の判断が優先される。”とあり最終的には自院の診療責任に帰せられるため要注意である。

オンライン診療料・医学管理料新設

 今回「オンライン診療料(再診・要届け出)」、「同医学管理料」が新設された。自院近傍で特定疾患療養管理料等を算定している患者に対して、6カ月間の毎月の同一医師の対面診療の後に対面診療と組み合わせた診療計画の基に算定できるが、診察間隔や患者数等にも制限がある。診療計画外の傷病に対する診察にはオンライン診療料は算定できない。さらに予約料徴収は選定療養として認められないこととなった。今後「指針」が発出される。従来の電話再診料は減点されなかったが、適用が限定されることとなった。

増点された処置や新設加算

 採血料、創傷処置100?・熱傷処置の3~5・ギプス料等々の処置点数引き上げなど以前より協会が求めていた要望が一定取り入れられた。また、診療科を問わず妊婦を診療した場合の「妊婦加算(初・再診)」が新設され、さらにその診療が時間外や休日の場合には通常より高い点数が算定できることとなった。

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