原発は非倫理的な存在 視察で運動の決意新たに  PDF

河本 一成(宇治久世)

 東京電力・柏崎刈羽原発の見学等を目的に、保団連公害視察会が2017年10月21・22日、新潟県柏崎市で開催された。京都協会からは飯田哲夫理事、河本一成会員、事務局が参加。全国から47人が集まった(既報3013号)。以下、参加記を掲載する。

 原発を訪れるのは私にとって初めてのことだった。季節外れの台風が近づき曇天の日本海に沿って走る列車の窓から、柏崎刈羽原発の巨大な排気筒が見えた。1日目は講演二つ。立石雅昭新潟大学名誉教授の「新潟県技術委員会による福島原発事故の検証」では、柏崎刈羽原発敷地内の断層の活動年代に関する規制委員会の審査が非科学的であることが詳しく説明され、東京電力や国の隠蔽体質、地質的に不安定な所に原発を作る無責任さに怒りを覚えた。また、本間保医師による「柏崎刈羽原発の地元の反対運動について」では、産業界を懐柔し、マスコミや警察まで使った弾圧に地域を分断されてきた歴史が淡々と語られ、地元民として粘り強く反対運動を続けていく決意が感じられた。
 2日目は雨の中、いよいよ原発へ。ビジターハウスの入口であらかじめ提出しておいた運転免許証のコピーの写真と本人とを照合される。講義室で説明を担当した東電職員は地元出身ということを強調しながら、ソフトな口調で原発の必要性を語ったが、そもそも原発がどうして必要なのか、という根本的な質問には、海外からの化石燃料輸入に頼っていてはだめだ、と言う説明に終始した。自衛隊が構内にいることなども聞いた。質問責めにする時間はあまりなく、バスでの原発構内の見学に向かった。
 構内に入る前には持ち物チェック。広大な敷地と巨大な防潮堤や多くの緊急車両などの大げさな装備は、原発という未熟で危険な技術を前にしては、壮大な無駄遣いとしか思えず、バスの中で気持ち悪い疲労感にとらわれた。
 台風がいよいよ接近し、電車の都合で早く帰らなければならなくなったが、この1回の見学だけでは原発の非倫理性を十分に感じることはできなかったと思う。そう、原発と核兵器は同じ、非倫理的な存在なのだ。全ての人にそれを伝えなければならない。これからも学習と運動を続ける決意を表明して視察報告としたい。

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