医療安全対策部会から 応召義務の疑問・ご意見にお答えします3  PDF

私がお答えします!
京都中央法律事務所 弁護士 福山 勝紀

 質問1 通達で広義にも狭義にでも捉えられるような状況と言うのは、今の医師の労働環境を考えると不適切のように思います。むしろ応召義務を存続させるか廃止するかの議論をすべきではないでしょうか? 廃止しなければトラブルは常に起こり得ると考えますが。
 回答 おっしゃる通りだと思います。応召義務の正当理由を示した通達は、昭和24年、30年と極めて古く、現在の医療環境を想定しているものではありません。医師法も昭和23年に作られたものですから、本来的には法改正の議論を先行させなければならないのかもしれません。
 質問2 診療所と住居が同一建物の場合、休日や時間外に電話連絡なしに受診される場合がありますが、その時も必ず応召しなければならないですか?(もちろん、救急事態には応じます)
 回答 どのような場合でも応召しなければならないということではありません。もっともおっしゃるとおり、緊急事態には応じていただく必要があります。
 質問3 勤務医ならば、院外に退出した後。開業医ならば外出中。「正当でない事由」を通達で出してもらい、それ以外は「正当な事由」として認める。つまり「正当な事由」を通達で出されているのでそれ以外は正当でないという論理になっているのが現状です。「正当な事由」として認められないものを列挙してもらえば、それ以外は全て「正当な事由」になります。
 回答 確かに、正当事由が挙げられていれば、それに合致する限り問題ないことになります。しかしながら、法的には、正当事由が例示的列挙(それ以外も認める場合)なのか制限的列挙(挙げられた理由でしか認めない場合)なのかということは問題になりそうです。広く院外の場合には、全く応召義務が認められないということまでは難しい気がします。
 質問4 一方的な「権利」を主張する患者が増えている昨今、医師と患者の立場はイーブンであって診療を拒否する権利は認められるべきではないですか。
 回答 「モンスター・ペイシェント」という言葉があるように、権利主張が強すぎる患者さんがおられることは事実だと思います。ただし、先生方はあくまで専門家ですので、イーブンの関係ということは難しそうです。

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