府民の医療保障推進・拡充のための計画として策定を 京都府保健医療計画(中間案)への意見  PDF

 医療計画は1985年の第1次医療法改正以来、2次医療圏ごとの基準病床数設定を通じ、病床の開設・増床に対し、都道府県が中止を勧告できる仕組みとしてスタートした。2008年の第5次医療計画からは、4疾病(後に5疾病)5事業の医療連携構築に必要となる医療機能とそれを担う医療機関・施設の具体名称の計画記載が義務付けられた。医療計画の本質は都道府県による医療提供体制管理ツールであり、今回中間案が取りまとめられた第7次医療計画はその実効性をより高めさせるものと考える。
 国が一律の計算式で以てレセプトデータを基にはじき出した25年の医療需要と、それに対応する機能別病床数の実現を求める地域医療構想の実現により、国は医療提供体制の効率化と都道府県による提供体制管理の強化を図る。その結果として、個別の医療機関が地域で果たす役割を明確化させることにもつながる。
 これは入院医療のみを対象とした政策ではなく、在宅医療や介護サービスの提供体制ともリンクさせながら進められる。従来の5年から6年への計画期間の変更は、まさにそれを物語っている。さらに、都道府県は第3期医療費適正化計画を同じく6カ年計画で策定し、同時に国保財政を担う。これは都道府県による提供体制と医療保険財政の一体的管理の仕組みづくりである。加えて、6年に一度の診療報酬・介護報酬の同時改定を通じ、国による医療統制も進めやすくなる。
 以上のように、国にとって第7次医療計画は医療費抑制機能の一翼であると言わざるを得ない。ついては、京都府が第7次医療計画を策定されるにあたり、前提として次のことを要望したい。
 一つは、京都府が国の政策意図を把握し、批判的な立場を貫くことである。
 そして、国の意図がどのようなものであったとしても、あくまで府民の医療保障推進・拡充のための計画として、新たな医療計画を策定することである。

 次に、今回の中間案に対し、若干の意見を述べたい。
〇第3期医療費適正化計画との関係について
 先にも述べたとりおり、国の政策意図は医療費の支出目標達成のための提供体制実現であると考える。中間案は、第1部総論第1章「計画策定の趣旨」に連携をとる計画の一つとして「中期的な医療費の推移に関する見通し(医療費適正化計画)」を挙げている。現行の医療計画を読むと、第2章「計画の性格」に類似した表記があるものの、同計画について整合を図るべき他計画には挙げていない。今回なぜ明記されたのか。

〇保健医療従事者の確保・養成について
 第2部各論・第1章1保健医療従事者の確保・養成の項の「現状と課題」で、医師数について従来からの北部地域の医師不足問題とあわせ、山城南医療圏の医師不足問題について記述されたことを評価したい。また、2018年度からスタートする新専門医制度についても地域医療が後退しないよう進めていく必要があるとの記述も重要なものと考える。
 その上で、「対策の方向」で従来からのKMCCを中心とした医師の総合的な確保対策の推進を〈量的確保対策〉と〈資質向上・勤務環境の改善〉両面から進めるとある。「基準病床数」同様、「成果指標」はいまだ空白となっているが、そこに掲げる対策が地域医療の困難打開につながることを望む。
 なお、中間案にある「医師の診療科偏在・地域偏在の解消」は、国の医療政策において「医療費の地域差是正」と並ぶ最重要課題である。これについて、国の医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会を中心に議論が進められているが、保険医定数制・自由開業規制等、医療従事者に対する規制的手法導入につながりかねない側面がある。京都府がそうした動向にも注視した上で、医師確保策を推進するようお願いしたい。

〇在宅医療を担う医師の確保について
 〈課題〉に挙げられた「在宅医療を担う医師の確保」は、地域から切実な声があがっている。弊会の実施した会員アンケート(中間まとめ)でも、6割の医師が2025年に向け、在宅医療に対応できる医師が不足すると回答。介護職の数や医療機関連携の不足も指摘されている。京都府が地域医療構想で示した2025年の「在宅医療の必要量の推計」は、療養病床に入院する医療区分1の患者さんの7割や一般病床の入院患者さんのうち、「医療資源投入量」が175点未満の患者さんを機械的に在宅需要に見込んだものであり、極めて政策的な数字である。在宅医療の必要性は、そうした推計によるのではなく、現実の地域医療や一人ひとりの患者さんの状況の中で判断すべきではないか。

〇健康づくりから医療、介護までの切れ目のない保健医療サービスの提供について
 中間案は、健康づくりや5疾病5事業について医療連携体制構築を含めた課題を記述している。協会はこれらについて、医学的見地からの検証を今後進め、府に対して建設的な提言を行う所存である。

国の「都道府県医療費の将来推計ツール」による推計結果

単位:千円
平成26年度 平成35年度(2023年度)
入院 病床機能の分化及び連携の推進の成果 350,088,724 471,084,496
入院外 自然体の医療費 455,631,323 557,048,989
後発医薬品の普及の効果 -7,751,760
特定健診等の実施率の達成による効果 -340,173
生活習慣病(糖尿病)重症化予防の効果 -2,026,687
重複投薬見直しの効果 -10,470
多剤投与見直しの効果 -1,192,063
取組効果を踏まえた医療費 545,727,836
歯科 自然体の医療費 56,407,986 61,351,750
総計 自然体の医療費 862,128,032 1,089,485,235
取組効果を踏まえた医療費 1,078,164,082

出典:京都府中期的な医療費の推移に関する見通し(第三期)中間案(2017年12月京都府)

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