農水路を活用する小水力発電 湖北中央幹線3、4号発電施設 (長浜市高月町)  PDF

 次に訪れたのは湖北、長浜市の小水力発電施設です。それは集落に比較的近い田圃の中の用水路に設置されていました。このように規模の小さい発電施設は初めて見たので、「えっ!これで発電できるの?」と驚きました。
 小水力発電は横幅が1mほどの用水路で落差が1mあれば取り付けることができると説明されました。発電機の説明もして下さいましたが、理解できず省略です。
 簡単な地図をいただきました。高時川に取水口を設けた用水路が地域の田圃に見事にいきわたっています。昔から稲作農業が盛んだった湖北地域は水争いも多く、水利対策も住民の工夫が重ねられたのでしょう。私たちが見学したのは、その農業用水(中央幹線用水路)に設置された小水力発電施設でした。水力発電は、太陽光発電に比べて昼夜を問わず、水量が変わらなければ季節も問わない発電ができるというメリットがあります。水は発電した後は田用水として稲を育てる。素晴らしい!(表2)
 水力発電は古くから利用されてきた環境に優しい再生可能エネルギーです。小水力発電は、小さな川や用水路でも発電でき、比較的安定した発電量が確保できる理想的な方法ですが、先の表にあるように、初期の建設費がこの規模でほぼ1億円と聞けば、おいそれとは手が出せません。どこにこれだけの費用が掛かるのかは聞けませんでしたが、発電設備のコスト削減とともに、国や自治体からの補助金で初期費用を抑えることは地域密着型の小水力発電の普及にとって重要なことと考えます。日常の維持管理は地域住民(ほとんどの人が農家か半農家)が担っているというお話でした。我々利用者も節電を心掛け、電力を作り出している人々に思いをはせなければと感じました。

表1 3事業者の概要
①NPO結の家
デイサービス・訪問看護・ケアプラン・緊急ショートステイ(要介護者一般高齢者・障碍者)
②NPOあいとう和楽(高齢者の働き応援拠点)
パン工房・甘味処・配食事業・薪工房「木りん」・木工・さをり織り・給食づくり
③(株)あいとうふるさと工房
農家レストラン(地域の食材と人)・給食・配食・レストラン経営・地域の伝統食の継承

表2 小水力発電設備概要
最 大 出 力:22kW
年間発電可能量:98MWh
最大使用水量:2.0?/s
有 効 落 差:2.0m(1.0m+1.0m)
建  設  費:9,800万円
運 用 開 始:平成28年10月
造成事業名:地域用水環境整備事業(湖北地区)
施設管理者:湖北土地改良区

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