地産地消のエネルギー政策 野々下 靖子(乙訓)  PDF

 紅葉には少し早い秋の休日、「しがエネルギービジョン」~原発に依存しない新しいエネルギー社会の実現に向けて~という環境視察で滋賀県に行ってきました。往きのバスの中で、前もって滋賀県庁の職員の方にエネルギービジョンの全体像について簡潔な説明をうけました。

市民共同発電を行うあいとうふくしモール(東近江市小倉町)

 東近江市は滋賀県の東部にあり、愛知川に沿って鈴鹿山脈から琵琶湖まで東西に長い市です。その中で東部分に位置するのが愛東地区です。ふくしモールは愛東地区にあります。
 バスを降りて最初に目に飛び込んだのは、広い駐車場の脇に並んだ薪の棚です。それは薪工房「木りん」の作業で生み出されたもので販売のため乾燥保存しているところでした。「福祉モール構想」は2009年多職種(福祉・環境・農業・まちづくり・行政・社協)有志が集まり、それぞれの想いをぶっつけ合い、それぞれの「特技」「強味」「専門性」を出し合い、つながりあい、助け合って、地域で安心して暮らせるための構想として打ち出されました。
 その後、愛東地区にすでにあった3事業所(NPO法人結の家・NPO法人あいとう和楽・あいとうふるさと工房)が駐車場を囲み、一つの敷地内に活動の拠点を移しました。それはヨーロッパの町にある広場を思い起こさせるものでした。更に3事業所の屋根を貸して、市民共同発電の太陽光パネルを設置し売電収入を獲得しています。3事業所の仕事の内容を簡単に記します(表1)。
 なお、3事業所の暖房は市内で開発した薪ストーブです。薪棚の役割を了解しました。
 ネットワークの仕方やその他の多くの連携した事業はインターネットで見ることができます。今回の「ふくしモール」の見学では次々と説明されることに感心ばかりしていました。企画の多様さ、組織化するエネルギー、実行に移す多くの方の連携、やりがいや生きがいを生みそれを楽しむ力、事業や場所のユーモラスな命名など、当方も十分楽しみました。
 サービスや各種費用は大きな輪の中で次々と回し素晴らしい循環が描かれているようでした。しかし、これだけの事業を動かす財政的裏付けをもう少し詳しく聞けなかったことが残念でした。

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